高齢者の増加とともに、寿命の延長よりも、高齢期の生活(自立能力)の向上や健康でいられる期間の延長が重要視されるようになってきました。
桜美林大学の柴田 博博士の研究によると、70歳時点でのスポーツ習慣の有無による80歳時点での日常生活動作能力(activities of daily living ,ADL:食事、入浴、洗面などの日常動作が出来る能力):自立者の割合は図5のよう になります。
特に男性の場合、スポーツ習慣の有無によって顕著な差が出ています。
こ の結果は、スポーツができるようなもともと元気なお年寄りは高齢になってもADLを高く保つことができることを示していると考えることもできますが、適度 な運動習慣が心肺機能を高め、骨格筋を丈夫にしてADLを高めることは疑いないことだと思います。一方、65歳から90歳台までの高齢者に健康生活の啓蒙や運動教室の開催などを行った結果、自分で身の回りのことが出来る人の割合がどの年齢層でも年々上昇していることが明らかにされています(図19)。適切な指導を行えば高齢になっても元気でいられることが実証されたことはうれしいことです。