20081220
森田 考恵

「白井市名内・今井・平塚地区、印西市浦部地区における淡水貝類の生息分布調査」

森田 考恵(千葉県白井市大山口)

【はじめに】

手賀沼は、昭和21年(1946年)に国営印旛手賀沼干拓建設事業が着工され、昭和43年(1968年)に完成した。圃場整備後の淡水貝類の生息状況については、明らかにされていない。近年は、淡水貝類が、優れた環境指標種であることが多く報告されている。(*1)

本調査は、白井市名内・今井・平塚地区、印西市浦部地区における淡水貝類の生息分布を把握し、今後の水環境保全へとむけて提言することを目的とした。

調査期間は、2005年6月6日~2005年7月25日である。


【結果と考察】

本調査では、ヒメタニシ、ヒメモノアラガイ、サカマキガイ(外来種)、カワニナの生息が確認できた。ヒメタニシは、名内の谷津内ではみられず、浦部の谷津内、平塚では谷津の下流域にあたる下手賀沼周辺でみられた。

ヒメモノアラガイは、名内の下流と今井地区にかけてみられ、下手賀沼周辺では生息が少なかった。浦部の谷津では、分散してみられた。

サカマキガイは、ヨーロッパ原産の外来種(*2)であり、日本へは1935~1940年頃に水草の輸入により持ち込まれたと考えられている。(*3) 谷津の下流域である下手賀沼周辺でみられた。また、浦部地区では、谷津の中流域で確認された。ヒメモノアラガイとサカマキガイは、1枚の水田内であっても、別々な場所で確認された。

カワニナは、名内では4箇所確認できた。1箇所は、三面コンクリートの水路であり、3箇所は土水路であった。平塚では、休耕田でカワニナが確認された。

以上の結果は、2005年の貝類の生息状態であるが、これ以降、田んぼは休耕田や畑へと変化している。貝類が生息できない環境へとかわりつつある。田んぼを維持すること、周辺地域の林を維持することが水環境を保全することにつながり、淡水貝類の生息環境を整えることになる。


  • *1・*2 紀平 肇・松田征也・内山りゅう ピーシーズ 2003年
  • *2 内山りゅう 「田んぼの生き物図鑑」 山と溪谷社 2005年

図表目録

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図1 名内・今井地区におけるヒメタニシの分布ヒメタニシ
図2 平塚・浦部(印西市)地区におけるヒメタニシの分布ヒメタニシ
図3 名内・今井地区におけるヒメモノアラガイの分布ヒメモノアラガイ
図4 平塚・浦部(印西市)地区におけるヒメモノアラガイの分布ヒメモノアラガイ
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図5 名内・今井地区におけるサカマキガイの分布サカマキガイ
図6 平塚・浦部(印西市)地区におけるサカマキガイの分布サカマキガイ
図7 名内・今井地区におけるカワニナの分布カワニナ
図8 平塚・浦部(印西市)地区におけるカワニナの分布カワニナ
 
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