キノコWatching in 谷田 2005.10.16.

文責:相馬成光
吹春先生のキノコ観察会で触発された気持ちをそのまま白井に持ち帰り、翌日、早速谷田(バッタの観察会をした場所)の雑木林に出向き、キノコを探し、記録してみました。 2時間で約30種のキノコを記録しました。
※  間違いにお気付きの方は、教えてください。
吹春先生のお話にもありましたが、千葉県の食べられるキノコの代表として、ウラベニホテイシメジの名前が挙げられました。谷田でも数本見つかりました。 が、間違えやすいクサウラベニタケ(毒)も生えていましたので、ここに比較してみます。
※雨天の為、写真のキノコの傘にすべてぬめり感が出てしまっています。
ウラベニホテイシメジ ウラベニホテイシメジ ウラベニホテイシメジ

ウラベニホテイシメジ(食)  ↑ →

茎の太さは、500円玉径程度。傘は灰褐色で、表面には絹糸状のかすり模様がある。
また、指で押したような暗色の斑がよく見られる。
ヒダは、クサウラベニタケ同様に若い時 白いが、やがてピンク色を帯びる。
茎は充実して硬く締まり、歯切れがいい。
クサウラベニタケ クサウラベニタケ

← クサウラベニタケ(毒)

ヒダは若い時 白いが、やがて
ピンク色~灰赤色を帯びる。
傘の表面は平滑(灰褐色)。
茎はやや中空で 締まりがない。
左がクサウラベニタケ(毒)
右がウラベニホテイシメジ。かすり模様有り ↓
上がクサウラベニタケ(毒)
下がウラベニホテイシメジ。茎の充実感あり ↓
上から上から比較 横から横から比較
また、「とてもクセがなくて美味しい」と吹春先生も仰っていたハタケシメジもありました。
毒のキノコの多いグループとして挙げられていたテングタケの仲間(毒)も生えていました。
観察会にて「食べてみた方いらっしゃいますか?」 「どうでしたか?」と 何度もお尋ねがあったように、 キノコが食べられるかどうか、味はどうかというのはプロ、アマ問わず大きな関心事なのですね。

白井市谷田のキノコ観察記録

相馬成光

2005年10月16日は、生憎の終日雨模様。時折小降りになったり雨脚がほとんど途絶えたりするぐずついた天気であった。合羽をまとい、谷田の水辺沿いの斜面林を歩いてみたところ、思いのほかキノコに出くわすことになった。今回歩いた時間は、写真を撮りながら概ね2時間半で、探索面積としては2~3haほどだが、約30種類のキノコを観察することができた。

  • ベニタケ科の仲間:種類は不明。
  • ホコリタケ:キツネノチャブクロともいう。若く内部は白色のうちは食べられるが、写真のような老菌は食べることはできない。他に朽木上に多いタヌキノチャブクロという似たキノコがあるが、どうして狐なのか、狸なのかの由来は分からない。誰か教えて。
  • ツチカブリ:ベニタケ科チチタケ族。学名もLactarius piperatusと乳を意味するラクトの仲間を意味するラクタリアス~となる。乳液の味は極めて辛いとされる。毒?
  • チシオタケ:鐘型の傘の周囲に鋸歯状のフリンジ(=ひらひらした淵)がある。小さいが綺麗なキノコ。
  • ヒダハタケ?:老菌で、傘の周囲が崩れてきているので、正確には不明。菌根性とされるが、写真の場合は、谷田の杉~シラカシ等の混交林地であることから、恐らくシラカシと菌根形成しているものと思われる。生食は中毒するとされるので食べないほうがよい。
  • ヤチナラタケ:Armillaria nabsnona 傘の中央が突出していることから、ナラタケ属の中で当該種であることが分かる。腐朽菌。
  • カレエダタケ:枝の分枝は様々。
  • スエヒロタケ:見た目の通り、末広がり。
  • ドクベニタケ:生食では中毒する。食べないほうがよい。
  • ベニタケ科の仲間:(  先述
  • ツエタケ:途中で切れてしまったが、長~~い柔軟な柄が地中深く繋がっている。
  • ドクツルタケ:「破壊の天使」とも称される、猛毒のキノコ。
  • クサウラベニタケ:胞子紋はピンク。ヒダは初め白いので食のハタケシメジと混同され易いので注意が必要。成菌ではピンク色となるが、今度は食のウラベニホテイシメジと混同しやすい。最も食中毒事例が多いキノコの一種なので注意が必要。
  • ヤチナラタケ(老菌):(  先述
  • ベニタケ科チチタケ属の仲間:乳液が出ている。大型の種類ではあるが不明。
  • オツネンタケモドキ:樹上性。革質でブナ帯に分布。白色腐朽菌。腐朽菌の中で、主としてリグニンを分解するものは白色(白腐れ)腐朽菌と呼ばれ、対して主としてセルロースを分解するものは褐色となり褐色腐朽菌と呼ばれる。木材をビルに例えていえば、鉄筋はセルロースでコンクリートはリグニンともいえる。
  • シロニセトマヤタケ:傘は径2~4cmで絹状の光沢がある。茎の根元は膨らむ。毒。
  • ツヤウチワタケ:短毛を密生させるウチワタケに似るが、ツヤウチワタケには無毛で光沢がある。カシ類の枯れ枝上に多い。
  • チチタケ:写真では、雨に打たれて典型的なチチタケの幼菌ほどレンガ色が濃くない。乳液が白いこと、茎・傘ともレンガ色であることからチチタケであることがわかる。
  • ウラベニホテイシメジ:傘の裏が紅色のホテイ様のような立派なシメジの意味。ほろ苦味があるが歯触りは一級品の味わい。茎の太さは500円玉ほどあり、充実している。傘の表面は絹のような光沢があり、指で押したような暗褐色の斑ができる。キノコ狩りのターゲットにされ、毎年同じ場所に生える。 よく間違われる毒のクサウラベニタケは、ずっと小型で茎が細めで中空気味で、傘の絹糸状の光沢はない。
  • コテングタケモドキ:暗灰色のつぼの破片を傘につけるコテングタケより大きい。白色のつぼの破片を傘につける。写真のものはかなり大型で、系統もしくは種類が異なる可能性もありうる。猛毒の菌を含むテングタケ科のきのこであるので、食べないほうが無難である。
  • ナラタケ:アメリカではハニーマッシュルームと呼ばれている。生食では中毒するのでよく茹で調理する。
  • クサハツモドキ?:ベニタケ科。
  • ムラサキシメジ:食。落ち葉分解菌。味はよいが生食では中毒する。
  • サクラタケ?:傘の径2~5cm。落ち葉分解菌。広く分布。微毒(ムスカリン)。
  • フジイロチャワンタケモドキ:汎用種。チャワンタケ科。
  • ハナホウキタケ:ホウキタケ科。美味しいホウキタケが根元の太いブロッコリー型なのに対し、根元から分岐する珊瑚型である。毒。
  • ハタケシメジ:腐朽菌。土壌に埋まっている有機物を栄養源とする。人工栽培されている。人工栽培ができない菌根菌のホンシメジに勝るとも劣らない食感や味がある。アメリカでも、フライドチキンマッシュルームと称され食される。
  • シバフタケ:芝生に群生し、よく菌輪をつくる。傘の径2~5cm。日本ではあまり食べられない。欧米では食されるという。
  • コタマゴテングタケ:傘の径3~8cm。食毒不明だが毒の可能性高い。
  • カワムラフウセンタケ:一見、写真ではムラサキシメジと思いきや、実物は明らかなクモの巣膜がある。フウセンタケ科はコーティナリアス・・・と呼ばれるように、クモの巣膜があることが特徴である。食。
  • アミヒラタケ:白色腐朽菌。材上性。傘の径10~20cm。強靭なキノコ。多孔菌科。ヒダは網状。
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