白井市自然環境市民調査員
―― 千葉県立中央博物館 原田先生による地衣類(コケ)調査 ――
長谷川キャラバン vol.6

 ぶつかるぐらいに なめるぐらいに 木に顔を近づけて・・・ 

2006.2.7. 谷田(北)  2006.2.17. 宗像神社、武西、谷田(南)
 

市民調査員参加者:

2/7:斉藤さん相馬さん米田さん緒方さん森田さん相馬
2/17:新見さん森田さん米田さん矢野さん相馬さん相馬

昨年11月22日に自然環境調査員養成講座で地衣類の野外調査が行われて以来数回にわたり、原田先生による調査・実習が行われています。

初めて出会う地衣類の世界にとまどいながらも、原田先生ルーペを握り締め 木に張り付いているうちに少しずつ違いが分ってきて・・・。
「子器(しき)をしっかり確認して下さい。」
(パソコンで“しき”は60種類の変換漢字があるも『子器』はでませんでした)
「粉芽(ふんが)があるでしょう。」  「裂片(れっぺん)の形もよく観て!」
と辛抱強く教えて下さる気さくな原田先生(←)のおかげで 未知の世界への好奇心が、またもや呼び覚まされて・・・。

冬芽やシルエットの美しさを見る冬の樹々の楽しみに 新たに地衣類が加わり、ますます豊かになる自然へのまなざし。

ひたすらルーペで覗き込む

 原っぱにいることも、鳥の声も、足元の植物のことも全て忘れて とにかくひたすらルーペで覗き込む 

  標本が必要なため、木の状態を判断してから採取 

標本 早業

同定も作業も早業です

今までは樹皮の特徴にしか見えていなかった模様が、地衣類という見事な生き物であることを知った驚きと喜びは大きく、幹を触れる指先にも存在を確認してみたくなる。

◆        ◆        ◆        ◆       ◆

  細い小枝を拾うと その1本に色々な地衣類がついていることを知る 

   

モジゴケ:

文字が付いているよう

 

オリーブトリハダゴケ:

地衣体がオリーブ色で鳥の肌のよう

 

レカノラ・レプローサ:

いぼみたいな子器が薄い褐色

原田先生は風のような方で、身のこなしも軽やかですが、「パスチュール」「シリア」「コフキジリナリア」などと 日本語かラテン語か解らない単語をさわやかに投げかけます。風のように自然な実習を受けているうちに、最近「フィスキア・オリエンタリス」なんて 舌をかまずにいえるようになってきました。

石碑についていた地衣類の数々

石碑から黒い毛

よーく見ると石碑から黒い毛が立っています。この地衣類を見た人は、日本でもほんの数人とか・・・?

ウメノキゴケ
宗像神社

年輪状のウメノキゴケ。中心が若い部分。ここまで成長するのに約30年かかる。

 
マユゴケ。マツゲゴケもあればマユゴケも・・・

マユゴケ。マツゲゴケもあればマユゴケも…と思いきや、繭のような形体だから。

ハコネイボゴケ

ハコネイボゴケ。濃い緑に黒い子器。箱根には少ないハコネイボゴケ。森田さん撮影

宗像神社

宗像神社の石碑に付いていた地衣類は十種類を超えていました。足元に近いところには蘚苔類のホウオウゴケも生えていました。

圧巻はウメノキゴケで、半径30センチはあろうかという大きさ。1年間に約8ミリ成長するそうです。

こんなに大きい白井産のウメノキゴケに出会えて、ほのぼのとした気分に・・・。平塚に続き環境がとても良いということになりそうです。

其の他 コナヒメウメノキゴケ、ヘリトリモジゴケ、マツゲゴケなどを確認。

寒い寒いといいながらも これは何?これはナンダ?と石碑にへばりついて1時間以上も観察。熱中しすぎてとうとうお昼ご飯の時間を過ぎました。優しい長谷川先生は温かい缶コーヒーを買いに・・・。原田先生、長谷川先生ありがとうございました。

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自分なりに鑑定

原田先生の言葉を必死に頭
に取り込み、自分なりに
鑑定。ドキドキしながら
 先生に観て頂き、「はい
正解!」と言われた時には
思わず笑顔が・・・。

思わず笑顔が・・・
最近やたら忙しい市民調査員 イヌシデに付いていた地衣類

鳥居の前のエノキにも
モジゴケ(左上)・ソバカスゴケ(右上)
(左の写真上2つ)等が・・・。

左下は、カシゴケ。
右下はヘリトリモジゴケ。
共にイヌシデに付いていた地衣類。

デジカメに図鑑にルーペにフィールドノートに・・・と
最近やたら忙しい市民調査員。

文責:相馬なおみ
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