武西・谷田の自然に親しむ会

カエルナイトウォッチング 於:谷田

長谷川キャラバン vol,5

 冬の終わりの あたたかくて明るい夜に 

 水辺でささやく声が    

2006.2.15. PM9:00~11:00 天気:くもり小雨

「こんばんは。」

市民調査員参加者

相馬(唐)さん・岩本さん・坂巻さん・

堺さんご夫婦・森田さん・森田さん

の娘さん・相馬(な) 計8名

「これから私たちはニホンアカガエルの産卵に立会いに行きます。 今日は調査ではありません。調査ならば水温とか計らなければならないのですが、急だったので何も用意してきていません。」
と話されながら 用意してきた胴長を肩にかける長谷川先生。

森田さんは大きな燃えるゴミ袋を持って登場。中には柄の長いタモ網が・・・。 「つかまえますよね!」

印西市で猛禽類のサシバの調査をされている堺さんご夫妻も参加され、長谷川先生の車で移動。



武西の原っぱに着くと夜なのに明るい。
満月をわずかに過ぎた月は薄い雲に隠れている。
懐中電灯をつけずに 小枝さえよけて歩くことが出来る。
草刈のいきとどいたなめらかなカーブの原っぱには雪も落ち葉もない。
杉林を下り、カモ場へ。
「鳴き声 聴こえませんね。」
先頭の長谷川先生が懐中電灯で水面を照らす。
「まだ 凍っている・・・」
カモ場の最初の角を曲がる。
「あっ いました。」
「オスがいっぱいいる。」
幅幅の狭い木の板の上を一列に並んで歩いているので
先生の視線を捉えることは出来ない。一体どこにいるんだろう。
アシ原が僅かに揺れ、そこに鮮やかなニホンアカガエルが…
見ただけでメスと判るほどお腹がパンパンに膨れ上がっている。


「うわぁきれいなオレンジ色!こんなにきれいなカエルなのですか?」

「普段は褐色がかった色ですが、この時期、婚姻色といってきれいなオレンジ色になります。」

「オスは先に産卵場に来ていて 小さくキョッキョッキョッと鳴き、メスを呼びよせます。」

・・・・・ニホンアカガエルは1月から3月の寒い時期に、冬眠から覚めて産卵をします。カエルは体外受精なので交尾ではなく抱接といいます。メスの上にオスが乗り、メスの体を腕で脇からぐいっと絞めて産卵を促します。そして産卵を終えた後再び土の中に戻り、5月頃まで眠ります。

・・・・・ということです。

去年、谷田地区でのアカガエルの初産卵は1月31日でしたので、今年は約2週間遅れということになります。
ニホンアカガエルは、千葉県レッドデーターブックのAランクで、最重要保護生物です。

何がどうなっているのか、にわかには理解し難い

抱接しているニホンアカガエルカップルの立体造形

長谷川先生の手の平で写真を撮らせてもらう。幾度か逃げるが その度につれもどされる。前足には水かきはないのですね・・・    観察+デジカメの練習

驚いたのは、カップリング蛙は、先生の手の平から逃げて下に
落ちても、カップリングを続けていること !!

一度くっついたら、なかなか離れないみたいです。

(カップルを)落ちては拾い、落ちては拾い、落ちては拾い・・・

「あーぁ、今度は離れちゃったね、ゴメンネ・・」と言いながらも 再び1匹ずつ拾って先生が好意で抱接させてあげる・・・

そんなムニャムニャした光景を見ているうちに 私だってカエルを触れるのよ~って気に誰もがなってしまう・・・

胴長をはき水面を見つめる子供

・・・じゃなくて長谷川先生

明るい冬の夜、草原を歩くこと自体に
ヨロコビを隠せない参加者たち。

「これから昼だけじゃなくて夜も歩こうかしら」

――少し霧がでてきました。pm11時になると予報通りの雨・・・・

「ニホンアカガエルは、冬でもコートがいらないくらいの暖かい夜に 示し合わせたように一斉に集ってきて産卵するのです。

オスがメスを呼ぶいくつもの声がざわめき、遠くでフクロウの鳴き交わしなんかが聞こえてくる・・・」

「そんな場に居る時、夜の闇の奥深さを改めて感じたりするのです。そうしているうちになんだか なんとなくこちらまで もよおしてきたりもしてきて・・・」

「さあみなさん、そろそろお家に帰りましょう」

白井市においてニホンアカガエルの卵塊は、3ヶ所でしか見つかっていません。ニホンアカガエルが谷津田の指標生物であることを考えると ここ武西・谷田地区は、湧水・草地・林・湿地がまとまった形で残っている失うことの出来ない領域です

  手の中におさまる命 

  ハンノキの雄花も赤くてきれい 

  翌16日 206個の卵塊を確認 

文責:相馬なおみ
 
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