ハゲタカ・ジャーナル(predatory or pseudo-journals)にご注意ください
- 更新日:2022/08/16
近年、オープンアクセスジャーナルの増加とともに,しかるべき水準の品質管理を行わないままにAPC(※)収入のみを狙った“学術雑誌”を刊行する悪質な出版活動が問題
1)になっています。
このような出版社は,研究者に直接メールで投稿を促すというケースもあるようです。
論文の投稿先を検討する際のお役立ちサイトとして下記 URL のようなページが参考になります。
※APC(Article Processing Charge):論文をジャーナルに投稿する際、掲載論文をオープンアクセスにするために発生する費用
- Think,Check,Submit(日本語版):著者が自身の論文を投稿する際のガイドラインを Think、Check、Submit の 3 つのステップにまとめています。
- Committee on Publication Ethics (COPE):Committee on Publication Ethics(出版倫理委員会)のリストに掲載されている出版社・雑誌であるかということも投稿誌選定のポイントとなります
- Identifying Predatory or Pseudo-Journals:医学出版領域における編集等に関わるオープンメンバシップ組織の1つであるWorld Association of Medical Editors(WAME)が投稿先を判断するさらなる手助けとなるフレームワークを提案しています。
- “Fake,” “Predatory,” and “Pseudo” Journals: Charlatans Threatening Trust in Science(ICMJE)
- Predatory or Pseudo-Journals : Responsibilities in the Submission and Peer-Review Process(ICMJE):生物医学論文を書くときのバイブル「ICMJE Recommendations」の中にも,Predatory or Pseudo-Journalsに関する注意喚起が記載されています。
- How to avoid predatory journals?a five point plan:2015年BMJの論説でもPredatory journalへの投稿を避けるためのポイントを掲載しています。(これらのポイントは,投稿の際のより適切で評価の良い雑誌を選ぶためのものではなく,Predatory journalに投稿しないための補足として参照するものであるとしています)
- journal evaluation tool:メリーマウント大学の図書館員とロヨラロースクールが作成したジャーナルと出版社を評価するためのシート。このシートを使って評価することで投稿先を見極めることの手助けになります。
- SciRev - Review the scientific review process:SciRevは,論文を投稿してから受理/不受理となるまでの各プロセスの日数を共有するサイトです。ハゲタカジャーナルは適切な査読が行われておらず,投稿から受理までの日数が短いといわれています。SciRevでは,投稿しようとしている雑誌の査読期間は,同分野のものと比べて短いか/長いか,分野の平均はどの程度なのか,相場を知ることができます(参照 2021-11-30)。
出版社が公開している参考資料
- How to Protect Yourself from Predatory Publishers and Other Open Access FAQs 学術出版社Sageが開設しているページ。Open Accessに関するFAQがまとめられています(参照 2019-10-16).
- Where should I publish? A library handout with tips and tools for researchers 学術出版社Elsevierが開設しているページ。論文を投稿する際,predatory journalに投稿しないための投稿先の選び方がまとめられています。必要事項を入力してDLする形式です。(参照 2019-10-17).
関連情報
- 実在するジャーナルを騙る偽ジャーナル(Hijacked / cloned journal)にご注意ください
- 学会等に参加する際は,ハゲタカ学会にご注意ください
- 本学の構成員(教職員・学生)がオープンアクセス論文を投稿する場合利用できる,オープンアクセスAPC割引情報
参考資料
- アクセプトされた原稿をPredatory Journalから取り下げた事例が報告されています。Takako Kojima, Sae Nakano, J. Patrick Barron, Predator―Predatory Publishingの1例―, 日本消化器外科学会雑誌, 2017, 50 巻, 11 号, p. 937-940, 公開日 2017/11/21, Online ISSN 1348-9372, Print ISSN 0386-9768, https://doi.org/10.5833/jjgs.2017.sc004, https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjgs/50/11/50_937/_article/-char/ja
- 「Predatory publishers」リストを作成し公開していたジェフリー・ビール氏の論文 Beall J, Predatory publishers are corrupting open access.Nature. 2012 Sep 13;489(7415):179. doi: 10.1038/489179a.
- 栗山 正光.ハゲタカオープンアクセス出版社への警戒.情報管理.2015.58(2).p92-99 https://www.jstage.jst.go.jp/article/johokanri/58/2/58_92/_html ,(参照 2018-09-07).
- 注意が必要な「怪しいジャーナル」 北海道大学附属図書館(参照 2020-10-7).