心筋細胞内カルシウムイオンの高速イメージング
難易度3
共焦点レーザー顕微鏡の応用
応用例
各種蛍光プローブを用い、固定された標本、あるいは生細胞に各種蛍光標識抗体や合成蛍光プローブを取り込ませ、細胞内外の小器官・特定の分子の分布・細胞活動時の生理学的パラメーターを画像化します。
合成蛍光プローブにも多くの種類があり、生細胞に適用可能なプローブも豊富です。(表を参照してください)
疎水性の高いものは細胞外液に添加しただけで細胞内へ取り込まれますが、親水性のものは細胞膜を透過できないので、 microinjection
などにより細胞内へ注入する必要があります。
Indo-1,fluo-3,SNARFなどの陽イオン感受性の蛍光プローブは複数のカルボキシル基を持っているのでそのままでは細胞膜を透過できません。
そこで、カルボキシル基をアセトキシメチル化して疎水性を高めたもの(AM体)も利用されることになるのです。
留意点
細胞外液に添加されたAM体は細胞膜を透過した後、細胞質内のエステラーゼの働きで加水分解されてfreeの色素を発生させます。AM体による色素のloadingは便利ですが、不完全な加水分解のため性質の異なる色素が生じたり、細胞質内のオルガネラに取り込まれてそこでの環境に基づく蛍光を発したりする可能性もあるので注意が必要です。
主な合成蛍光プローブ |
細胞内小器官 |
核 |
Hoechst33342,DAPI |
ミトコンドリア |
rhodamine 123 |
ゴルジ装置 |
NBD hexanoic ceramide |
小胞体 |
short chain carbocyanines |
細胞膜 |
蛍光標識リン脂質 |
細胞質 |
蛍光標識 dextran |
分子 |
細胞骨格 |
NBD phallacidin |
DNA |
Hoechst33342,DAPI |
cAMP |
FICRhR |
各種抗原 |
蛍光標識抗体 |
生理学的
パラメーター |
イオン |
Ca2+ |
fluo-3,indo-1 |
Mg2+ |
mag-fura-5,mag-indo-1 |
Na+ |
SBFI |
K+ |
PBFI |
pH |
SNARF |
膜電位 |
DiOC5 |