【 例えば 】
人間(心拍数60−100程度)やウサギ、モルモット(心拍数200程度)の心臓の活動電位は脱分極している時間が数百ミリ秒持続しますが、心拍数が400−600のネズミの心臓では数ミリ−数十ミリ秒しか持続しません。心拍数の高い動物では一回の活動電位を素早く終了させて次の活動電位の発生に備えているように見えます。この活動電位の波形の違いをつくり出している最大の原因はカリウムチャネルの性質の違いです。
【 カリウムチャネルが開くと 】
再分極が起こって活動電位が終了しますが、ウサギやモルモット心筋のカリウムチャネルが開くのに数百ミリ秒の時間がかかるのに対し、ラットやマウスのカリウムチャネルは数ミリ−数十ミリ秒で開きます。この時間差が活動電位の持続時間の差に反映されているのです。活動電位に続くカルシウムトランジェントも心拍数の高い動物ほど時間経過が速くなっています。カルシウムトランジェントの時間経過を決める要因は複雑ですが、活動電位により引き起こされるCa2+-induced
-Ca2+-release の時間持続や、カルシウムイオンを細胞質から取り除くしくみに違いがあることがわかってきました。マウスやラットではモルモットやウサギと比べて筋小胞体機能が高く、また、カルシウムトランジェントが発生した直後にカルシウムイオンを細胞外にくみ出すNa+-Ca2+交換機構の働きが高いことがわかっています。
これらにより、マウスやラットの心筋では素早い収縮・弛緩が可能になっていると考えられます。
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