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L型T型デュアルカルシウムチャネルブロッカーの発見と展開難易度3 T型カルシウムチャネル阻害薬の構造的特徴
ジヒドロピリジン環には不斉炭素があり、ジヒドロピリジン系薬剤はR体とS体の混ざったラセミ体として用いられています(ニフェジピンを除く)。エホニジピンの各光学活性体を検討した結果、T型カルシウムチャネル遮断に関してはR体とS体とで差が見られなかったのに対し、L型カルシウムチャネル遮断はS体にのみ認められました (25) 。つまり、R体はL型カルシウムチャネル遮断作用が無く、世界ではじめてのT型カルシウムチャネル選択的な遮断薬であることが判明しました。エホニジピンR体を用いた検討で心拍数の制御におけるT型カルシウムチャネルの役割にはマウス>モルモット>ウサギの順であることがわかりましたが (26) 、これはT型カルシウムチャネルの役割は小さい動物ほど大きいという説 (27) を支持します。このことからエホニジピンの優れたプロフィールをL型T型両カルシウムチャネルを遮断することで説明できるのかどうか、新たな謎が生まれたとも言えます。病態時にT型カルシウムチャネルは正常時よりも多く発現していると考えられていますが、エホニジピンにこれまで明らかになっていない薬理作用があるという可能性も否定できません。今後エホニジピンR体を用いてT型カルシウムチャネルの生理的・病態生理的役割が解明されるとともに、誘導体展開により新しい作用機序を持った治療薬が開発されることが期待されます。 ![]() |