種差−動物種による違い− 心筋の発達変化 心臓の部位による違い
難易度2
心房筋細胞にはナトリウム利尿ホルモン(ANP)というペプチドを含んだ顆粒が存在していますが、心室筋細胞にはこれがありません。静脈から心房に戻ってくる血液が増えると、それだけ心房筋は引き延ばされることになります。その筋肉の伸展を感じ取り、顆粒内のANPが血流中に放出されます。ANPは副腎皮質に作用してアルドステロンの分泌を抑制します。アルドステロンは尿量を低下させて体液を保持する働きがあるホルモンですので、ANPはこれと反対に利尿により体液を減らす作用があることになります。ANPには腎臓に直接作用して尿量を増加させる作用や血管平滑筋を弛緩させて血圧を低下させる作用もあります。つまり、体液量や血圧が増えすぎたときに心房がこれを感知してANPを分泌し、適切な状態に戻す仕組みが作動していると理解できます。