東邦大学へ メディアネットセンターへ バーチャルラボラトリへ
東邦大学名誉教授
小林 芳郎

その名もマクロファージ!!

マクロファージの発見

 先にも説明したように、マクロファージはメチニコフによって発見された。彼はミジンコやナマコの幼生を調べ、体外から侵入した細菌などを取り込み消化する細胞を発見した。彼はこれを食細胞と名付け、病気からからだを守る重要な働きをしていると考えた。当時は抗体こそが生体防御のかなめだと考えられていたから、彼はそれと対立することになったのである。

マクロファージ

組織マクロファージ

マクロファージのはたらき

 マクロファージは細菌や死細胞などを貪食消化するだけでなく、たとえば破骨細胞は酸を分泌して骨のミネラルを溶かし、加水分解酵素を分泌して骨のコラーゲンを分解する。

  マクロファージはまた免疫調節物質(サイトカインやケモカイン)をつくって他の免疫細胞を活性化したり、呼び寄せたりもする。

  マクロファージは樹状細胞ほどではないが、取り込んだ抗原を分解し、クラスII分子とよばれる分子と結合させるはたらきもする。このようなクラスII分子は細胞表面に出ることができ、クラスII分子に結合した抗原(断片)が(抗原特異的)T細胞によって認識される。

組織マクロファージ

  マクロファージは体のいたるところに存在する。それぞれ、肝臓のクッパー細胞、皮膚の組織球、脳のミクログリア、破骨細胞などと固有の名前でよばれたり、肺胞マクロファージ、腹腔マクロファージ、脾臓マクロファージ、胸腺マクロファージ、などとよばれたりする。これらは先に破骨細胞について説明したように、細胞によっては特有のはたらきももっているが、いずれも共通して細菌や死細胞の貪食除去にあたる。