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東邦大学名誉教授
小林 芳郎 |
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基礎知識:体を維持するメカニズムマクロファージ・好中球・単球細胞のターンオーバー私たちのからだはおよそ90兆個の細胞からできている。そしてそれらの細胞はたえずつくられ、たえず壊され、一定に保たれている。 たとえば皮膚(ひふ)にできる垢(あか)は角化(かっか)細胞(*1)とよばれる細胞が死んでできるもので、そのかわりに皮膚では新しい細胞がいつもつくられている。爪(つめ)が伸びるというのは根元のところで爪 ができるからであるし、髪が伸びるというのは毛根で髪ができるからである。 小腸粘膜の上皮細胞はたえず生まれ数日で死んでいく。体の中の細胞は神経細胞でさえ寿命があって、寿命がくると死に絶え、つねに新しい細胞と置き換わっている。これを細胞のターンオーバー、回転、という。 マクロファージ死んだ細胞は垢のように体外に出されてしまう場合と、マクロファージと呼ばれる食作用の盛んな細胞に取り込まれて消化される場合とがある。マクロは大きい、ファージは食べる細胞、ということなので、マクロファージは大きい食べる細胞(大食細胞)という意味である。 好中球今ではほとんど使われなくなったが、ミクロファージと呼ばれる細胞もいる。小さい食細胞、つまり好中球のことである。 好中球は、細菌を取り込んで殺菌する能力にすぐれた細胞だが、死んだ細胞を取り込むことはない。この2種類の細胞は、メチニコフ(*2) という有名な免疫学者が発見した。 単球 マクロファージの親類の細胞に、単球と呼ばれる細胞がある。単球はおもに血流中に存在していて、移動性に富む。感染がおこると好中球が最初にその場に集まり、それに続いて単球が集まってくる。単球や好中球はリンパ球と同じく白血球の一員である。 |