麦角アルカロイドの全合成
無保護アミノ酸の官能基選択性
アミノ酸のラセミ化
芳香族アミノ酸のブロム化
新赤堀反応
IDO阻害剤の開発
アミノ酸の化学−アミノ酸のラセミ化
麦角アルカロイドの全合成の過程で行った4-Bromotryptophan(1)のHeck反応は、非常に強い塩基性条件下での反応である(Scheme1,
K2CO3, 130℃, 6h)。それにもかかわらず、得られた4-ビニル体(3)は全くラセミ化していなかった(右図)。
この様に、強い塩基性条件下でもラセミ化しなかったことに強い興味をもち、無保護アミノ酸の塩基性条件下における水溶液と有機溶媒であるDMF(Dimethylfromamide)中のラセミ化を比較する実験を行った。
アミノ酸(Phenylglycine, Phenylalanine, Tryptophan)を水溶液中あるいはDMF中で、K2CO3存在下加熱した後、回収して光学純度を測定したところ、水溶液中では光学純度が94%ee−98%eeであったのに対し、DMF中では56%ee−85%eeであり、水溶液中では明らかにラセミ化が抑制されていた。さらに意外なことに、DMF溶媒の場合アミノ酸の回収率が悪く(5%−42%)で、かなり分解していることが分かった。即ち、DMF中では、アミノ酸はラセミ化しやすいばかりでなく不安定でもあることが明らかとなった。
無保護アミノ酸の水溶液中での性質は今までにも多くの研究がなされているが、「水溶液と比較して、有機溶媒中では、より不安定でかつラセミ化しやすい」ということを見出したのは初めてである。
参考文献:Y.Yokoyama, H.Hikawa, Y.Murakami, J.Chem. Soc., Perkin Trans. 1, 2001, 1431-1434.
ろ過の実験
接触還元:真黒な反応液がろ過をするときれいな黄色の液(丸底フラスコの中)となっている。
乾くと発火するので細心の注意が必要です。