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東邦大学名誉教授
小林 芳郎

生命の最小単位 細胞

生きている細胞 死んだ細胞

生きている細胞

細胞のはたらき

細胞の特徴

 生きている細胞の特徴は、エネルギーをつくりだすことであろう。細胞の中には赤血球や血小板のように核がなくて増殖しない細胞や好中球のように核はあっても分化し終わって増殖しない細胞もいるが、これらもエネルギー(ATP)はつくるからである。
  私たちのからだをつくっている細胞はさまざまだが、それらにはある共通点がある。
細胞はリン脂質からつくられた膜で取り囲まれており、多くの細胞が内部に、核、ミトコンドリア、リソソーム、ゴルジ体、小胞体をもっている(図2参照)。

 核ではDNAの複製、転写が起こり、小胞体ではタンパク質合成が起こる。ミトコンドリアはエネルギーをつくりだし、リソソームは取り込んだタンパク質などの消化にあたり、ゴルジ体はタンパク質に糖鎖を付加する。細胞の中にはたとえば肥満細胞や膵島B細胞のように顆粒に富む分泌細胞もいる。

移動しない細胞のはたらき

 私たちのからだは多くの移動しない細胞によってできている。骨、筋肉、さまざまな臓器などである。血管や神経もほとんど移動しない。これらはそれぞれ特徴的な働きを担っていて、たとえば骨は、骨細胞のまわりに、コラーゲン細線維とカルシウム塩でできた薄い板が何枚も重なってできていて、からだをささえている。また筋肉は骨格筋線維の束であるが、1つの線維は1個の骨格筋細胞であり、この1個の細胞は実は数千もの細胞が融合したもので、収縮作用を持つ。

移動する細胞のはたらき

私たちのからだはまた多くの移動する細胞によってもできている。赤血球、好中球、単球、リンパ球などである。これらはつねにからだを循環して、細胞がエネルギーをつくるのに必要な酸素を供給したり、からだを細菌感染から守ったりしている。