生物多様性
生物の識別:Importance of Parataxonomy
種は生物の重要な存在単位です。種を他種と区別して認識し、記載・登録し、体系化する仕事は分類学者の任務ですが、その最大公約数的概念を理解し、実用的な識別手法を体得することは、生物を学ぶ者として最低限修めておくべき技能であるといえます。
対象分類群によって分類作法の些細な違いがあるかもしれませんが、学問としての分類学には、方法論としての根本的な違いはありません。しかし、識別技能の修得にあたっては、対象分類群ごとに識別の鍵となる形質を個別に認識し、細かな識別点を覚えなければならないのです。そのため、分類学者といえども、専門外の生物を識別することは容易ではありません。
生態学・環境科学では、さまざまな生息環境における多種多様な生物の正確な識別能力が要求されます。系統分類学では、正確な識別はもちろんのこと、進化の単位として種を認識し、その系統を明らかにすることが重要な課題となります。生化学や生理学においてさえ、実験材料とする生物の識別を他人任せにしてはならないでしょう。そのため、種の識別技能を効果的に修得する学習プログラムが必要となるのです。
求められる経験と技能
- さまざまな生息環境における種の多様性を認識する
- 種の概念を理解する
- 種の記載・登録の仕方を理解する
- 迅速かつ正確に種を仕分ける能力を身につける
- 標本の価値を認識し、標本の管理や利用の仕方を身につける
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