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薬草園の世界
東邦大学名誉教授
小池 一男

12月-December-


イチゴノキ

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ツタバウンラン

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ヒイラギナンテン

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トウネズミモチ
(実)
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ヤマコウバシ
(紅葉)
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トウネズミモチ

モクセイ科イボタノキ属
学名 Ligustrum lucidum
中国原産の常緑小高木。花期は6-7月頃。枝先の円錐花序に4mmほどの小さな黄白色の花を沢山つける。

 明治の初期に渡来し、現在は国内の各地に植栽される。大気汚染に強いという理由で、都市部を中心に街路樹や公園緑化樹として植栽されてきた。直径10cm、樹高10mほどに成長する。

 生育がきわめてはやい! 土質を選ばない! 実生で繁殖する! 剪定に耐える! 発芽力が強い! 移植可能! 特別な病害虫なし! と、手間のかからない樹木ではあるが、在来種のネズミモチとの交雑や、その他の木本植物との競合、果実食鳥類などへの影響が大きいため、現在は要注意外来種に指定されている。

 トウネズミモチの名前は在来種のネズミモチに‘トウ(唐)’をつけたもので「唐鼠餅」。高級家具や工芸品に向く良材なネズミモチだが、名前の印象が高級家具に似つかわしくないという理由から、その分野では「タマツバキ(玉椿)」という雅やかな別名がよく用いられるのだとか。そう聞くと、命名の現場を覗いてみたくなる。

11月-November-


ジュウガツザクラ

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ルスカス
(実)
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ジャガイモ

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イチョウ
(紅葉)
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ハンカチノキ
(実)
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ハンカチノキ

 ハンカチノキは習志野キャンパス構内に2本ある。1本は植えてから34〜35年をかけてやっと咲いてくれた。もう1本は未だに咲いてくれない。他にもう1本あったが、工事の折、工区に入ったことからやむなく伐採。現在花が咲く木は、高さ約7m、幹直径18cmの若木。 実生何年で咲くか色々と調べるも情報がなく、植えてから毎年見ていて、20年目頃から「そろそろ花が見られるか」と勝手に思い楽しみにして待ち・・・。諦めた頃に、やっと初花6花を見てからは毎年咲いてくれるようになった。現在は樹齢43年ほど。まるでユズの実生のように気の長い事だった。今ではまだ花数が少ないが楽しみにシャツターを切ることができるようになった。この秋は果実が8個ほど付いている。
 ハンカチノキの繁殖は挿し木と実生。実生は花が咲くまでに約30年かかる。

薬草園スタッフ 川上

 

ヌマミズキ科ハンカチノキ属
学名 Davidia involucrata
樹高10〜15mほどになる落葉高木。花期は初夏。

  中国西南部の標高2000mの森林中に自生する1属1種の珍しい樹木。国内では、1958年に小石川植物園に植えられたのが最初であり、現在は庭木やシンボルツリー、街路樹として植えられている。

 果実は核果で堅い果肉を纏う。梅干しの種を割ったことがあるだろうか。手で割るには堅すぎるし、かんでみても、なかなか割れない。ハンカチノキの核果も手強い。形がきれいなので乾燥させてドライフラワーに利用される。

 花期に白い花弁のように見えるのは2枚の大形の総苞片で、花弁とガクは無い。まるで枝にハンカチがぶら下がっているかのように見えるのが面白い。その様子が名前の由来となっている。この‘ハンカチ’は有害な紫外線から花を保護する日傘の役割をしているのだそうで、改めよく見てみると、苞葉は花序を守るようにふんわりと広がっている。
 苞葉には生物に有害な紫外線を吸収するフラボノイドと呼ばれる成分が多量含まれており、太陽光の中から有害な紫外線のみを選択的に吸収し、可視光だけを通過させていることが筑波実験植物園の研究者らによって明らかになった。
 詳しくは国立科学博物館Webサイトの
 ‘学術出版物’(https://www.kahaku.go.jp/research/publication/botany/v35_1.html)より、
 『竹村聖子,北島潤一,岩科 司:P.1
 ハンカチノキ(ハンカチノキ科)の半透明の苞葉に含まれる紫外線吸収物質(英文)』 をご覧ください。

 とっても頼りになるハンカチのおかげで、紫外線量の一番多い季節のUV対策は万全。真っ白な苞葉が映えるツヤのある葉が丸まっているときは、暑さや乾燥で水分を浪費しないための護身術を発動中なので水遣りに気を付けたい。

“ハンカチノキ”の花は、2006年5月のカレンダー でご覧いただけます。

10月-October-


シュウメイギク

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アメリカハナミズキ
(実)
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ツルソバ

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アメジストセージ

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オオモクゲンジ
(実)
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オオモクゲンジ

 中国原産のムクロジ科の落葉高木。高さ20m近くまで成長すると聞く。成長が早く、実生5年くらいで3m近くなったこともあった。成木の葉には鋸歯が無く全縁だが、幼木の葉には重鋸歯があり、初めて見た時には別種かと思った。このように成長段階によって形状が変化することはよくあり、例えばキリの場合、成木の葉身の長さは15〜30cmだが、幼木の葉身は、なんと70cmを超えることもある。とうてい同じものと思えない。ただ自分が知らなかっただけなのか、こんなことの繰り返しで一つ一つ木を覚えてきた。

 オオモクゲンジの花は雌雄同株で雌雄異花。9月頃、円錐花序に小さな黄色い花を沢山付け、森の中にあっても木の上部が遠くからもわかるほど黄色く染まり、花が散る様子から‘ゴールデンレインツリー(golden-rain tree)’の名で呼ばれる。背が高い為、花が地面に落ち始めてから気づく人も多い。
 花が終わってしばらくすると独特の形をした袋状の実が付く。淡紅色に色づき、別の花が咲いたように見事である。後に茶色くなった実が落ちると、木の下一面を覆い、春にはごっそり芽吹く。又、根がとんでもないところで地上に出ると光の刺激で芽が吹くことがある。

 キャンパスのオオモクゲンジは、42年前に実生5〜6年の木を根元から2m位に切り移植したもの。今では15〜16mほどに成長し見事に花を咲かせてくれている。これからどこまで育つか楽しみである。

薬草園スタッフ 川上

 

ムクロジ科モクゲンジ属
学名 Koelreuteria bipinnata
 花期は9月。鮮やかな黄色い花弁をもつ小さな花をたくさん付ける。雌雄異花。雄花の4枚の花弁は反り返っており、基部にはひときわ目を引く赤い突起がある。付属体という。雌花の花弁は反り返らない。
 主な用途 : 庭木として公園や寺院などに植えられる。

 キャンパスのオオモクゲンジの下に足を運んでみました。降ってくる花は雄花がほとんどで、雌花を見つることができませんでした。もっとも、蚊の猛烈な歓迎を受けたため滞在時間がごく僅かでしたから、もっとよく探せばみつかるかもしれません。

“オオモクゲンジ”の花期の様子は、9月のカレンダー でご覧いただけます。

9月-September-


ハチジョウイタドリ

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セイヨウフジバカマ

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ルリスズカケ

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オオモクゲンジ

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コスモス

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コスモス

キク科コスモス属
学名 Cosmos bipinnatus Cav.

 観賞用として栽培される、メキシコ原産の1年草。高さ1.5-2mほどになる。
花期は秋。頭花は周囲に8個の舌状花が並び、色は白色または淡紅色、深紅色などで、結実しない。中心には多数の黄色い管状花が集まり、こちらは結実する。園芸種の多い植物である。
 属名‘Cosmos’は、ギリシャ語で「秩序、調和、美しい、装飾」などを意味する`kosmos’に由来する。行政書士徽章にはコスモスのモチーフが用いられているそうである。
 別名 アキザクラ(秋桜) オオハルシャギク(大春車菊) 

 日本に渡来した時期については諸説あるが、明治末期には全国に普及、各地で栽培されるようになったという。黄色の花を咲かせるキバナコスモスは同属別種で、こちらは大正年間に渡来している。黒紫色のチョコレートコスモスは根塊ができる多年草である。花屋さんの店頭で出会うたび、鼻を寄せてチョコレートの香りを確かめたくなってしまう。



“キバナコスモス”は、過去のカレンダー 2021年8月2019年9月2006年9月 でご覧いただけます。
“チョコレートコスモス”は、2011年11月のカレンダーでご覧いただけます。

8月-August-


ヒマワリ
(八重)
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サルスベリ

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キバナコスモス

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トロロアオイ

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ツチアケビ
(実)
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ツチアケビ

 ツチアケビとの出会いは45年ほど前の夏の終わり頃。高尾山で初めて実を見た。地面から茎が出ていて、赤いウインナーソーセージに似た実が5つ着いていた。図鑑では見ていたが実物を見るのはこの時が初めて。思っていたものよりかなり大きく私の目に映った。
 花が見たくて、その後何度か花時期に通い、2年後にまともの花を見ることができた。花茎の下にマムシがいて、マムシに話しかけてどいてもらい撮影をした。うす暗い中、36枚フィルム3本を使った。気に入ったスライドフィルムが6枚ほどでき、満足。そのフイルムは後に焼けてしまいだめになった。
 ある時、房州に住む知人から鹿の角を拾いに来ないかと誘われて行ったその竹林にツチアケビが生えていて、偶然また目にする。竹林は知人の持ち山であり、「気持ち悪いから倒していたのだ」と聞く。個体数を確認し、毎年通い、花と実の写真を収める。この写真は今の房州のもので、高尾山のものより気持ち大きく思えた。この植物の貴重さを伝え、保護してもらえるように頼んだ。今では15株ほどに増えたと聞く。

薬草園スタッフ 川上

ラン科ツチアケビ属
学名 Cyrtosia septentrionalis

 日本では奄美大島から北海道に分布。深山の林床に生える多年草。
 ナラタケというキノコと共生する菌従属栄養植物(腐生植物)で、長く横に這う地下茎を持つ。全体に肉質で黄褐色を帯び、緑葉が無い。高さは30-90cmほどであり、この属のなかでも背丈が高い。
 花期は夏。黄色の花を咲かせ、夏の終わりごろには径15-26mmほどの赤褐色の果実を鈴なりにつける。土から生えた茎に、たわわに下がる果実はアケビににており、その姿が和名の由来という。
 別名に、ヤマノカミノシャクジョウ(山の神の錫杖)、キツネノジャクジョウ(狐の錫杖)、ヤマトウガラシ(山唐辛子)などがある。

 ツチアケビは豊かな森の林床でキノコと共生する。つまり、日陰で出会う植物であり、森の中を歩いていると突如出現するのだ。その姿には慣れ親しんだ緑の葉は無く、実の時期ならば、ちょっとくすんだ赤茶色の茎に濃い赤い実がたわわに実っているはず。あまりのインパクトに、忘れられない植物になること間違いなしだろう。



“ツチアケビ”の花は、2017年6月のカレンダーでご覧いただけます。

7月-July-


ジュズサンゴ
(実)
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オオハンゴンソウ

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ムクゲ

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キツネノカミソリ

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アルストロメリア

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実生から開花まで6〜8年 キツネノカミソリ

 

 花色の変化が少ない種として知られているキツネノカミソリ。
私は、その“変化”を求め各地を撮り歩いた。白色から濃色まで、自生地による微妙な変化が興味をかきたてる。自生ではまだ見ていないが、八重咲きなども魅力的だ。

 キツネノカミソリは、30年ほど前までは普通に見られる種だった。近年の開発や乱獲により自生地が激減したように私には思える。
その頃より、この、花の変化が少ない“色変わり”や“花弁数の多いもの”などを探し写真に収めてきた。また、“変わり”のタネをまいて栽培をし、ある程度固定ができた。栽培してみてわかったのは、キツネノカミソリは成長が遅く、実生では早くて6年かかるということ。タネを播いて1年目は地上に葉を出さず、根だけを出して小さな球根ができる。2年目に葉を出し、開花までは6〜8年かかった。山の斜面一面に咲いている所があったが、どの位の時間をかけてできた群落なのだろう。
 こんな成長が遅い植物なので、一度自生地が荒らされると、なかなか元に戻ることがない。台風や大水などで自生地が壊されたり、近年の山野草ブームでの乱獲が減少に更に拍車をかける。なかでも除草剤の使用は最も大きな影響を与えている。

 この頃は、少なくなってきた自生地を保護する動きが出てきているが、このままでは、そんな保護区でしか見ることができなくなってしまうかもしれない。貴重な自生地を保護していきたいものだ。

薬草園スタッフ 川上

ヒガンバナ科ヒガンバナ属
学名 Lycoris sanguinea Maxim. var. sanguinea
 属名はギリシャ神話に登場する海の女神リュコリスからとった名前。種小名は「血紅色の」の意。
 関東以西の山野に生える多年草。春に軟らかい葉を出し、夏には一旦落とす。花茎を30-50cmほどに立ち上げて花を咲かせる。方言に、きつねのたいまつ(福井)、きつねばな(福島)、きつねゆり(岡山)、じごくばな(長崎)、どくばな(島根 熊本 宮崎)などがある。和名「狐剃刀」の由来は、葉の形が剃刀に似ているため。また、寂しい、気味の悪い場所に繁茂するのでキツネの名をつけたともいわれる。

6月-June-


エゾミソハギ

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クマノミズキ

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アーティチョーク

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イワガラミ

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アカバナアサザ

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アサザ

ミツガシワ科アサザ属の多年生の水草

 北半球の温帯から亜熱帯に広く分布し、日本では本州、四国、九州の池や沼にはえる。花期は初夏から夏。星形の黄色い半日花を咲かせる。かつては群生していた場所でも、護岸工事や水質汚濁の影響で個体群が縮小、消滅しており、準絶滅危惧種に指定されている。

 アサザは池や沼の泥中に地下茎を、水面に向かって長い柄を伸ばして葉を浮かせ花を咲かせる。地下茎はランナーを伸ばし、水底と水面のテリトリーを拡げている。花後に水上でできた種子は水面を漂い、辿り着いた陸地で春を待つという。発芽する頃の水面はまだ低いため、アサザの種子からは遠く、種子は水辺の土に根付き、季節が進むにつれて上昇する水位の分だけ柄を長く伸ばして水面に葉を浮かせる。水面の規則的な上昇が止まるころ、しっかり成長し定着したアサザはテリトリーを拡げにかかる。陸から水中へと傾斜のある沼などではこの活動が可能だが、護岸工事を施された沼などでは、さて、どうだろうか。

 ところで、「花が開くときの音」というものを聞いたことがあるだろうか。参考にさせていただいた図書『よみがえれアサザ咲く水辺〜霞ヶ浦からの挑戦』(文一総合出版)の中で、鷲谷いづみ先生は、アサザのつぼみが次々に開いていくときの音を“小気味よいポンポンという音”と表現されている。これは是非とも早起きをして、朝もや立ちのぼる水辺で聞いてみたいものである。

5月-May-


フジ

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ジエビネ

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カノコソウ

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キバナムラサキ

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ユリノキ
(斑入り)
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ユリノキ

ユリノキ科モクレン属 アメリカ北東部原産の落葉高木
学名 Liriodendron tulipifera
和名 ハンテンボク、チューリップノキ

 日当たりの良い深層肥沃の土地を好み樹高20-30m、幹の直径は3mほどになる。花期は5月頃。枝先にチューリップに似た黄緑色で一部がオレンジ色がかった花を1個つける。日本には明治初年に渡来。生育が早く大木になるため、アメリカ先住民はこの木から木船を作ったといわれる。
 ユリノキは大気汚染には中程度に耐えるとされ、公園樹・庭園樹・緑陰樹などとして利用されている。また、ユリノキに降った酸性雨が樹幹を伝って地中へと流れ落ちるうちに、酸性の度合いを弱め、中性へと変化するという。花は密の分泌が非常に多く、花蜜が非常に豊富なため、養蜂にも適しているそうである。樹形や葉も美しく、新緑の頃には目にも嬉しい。何かと良い事づくしな樹木のようだ。

4月-April-


ポドフィルム

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カタクリ

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アオキ

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ネコノメソウ

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ライラック

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ライラック

 リラの花でおなじみのライラック。北海道の代表花の一つ。花色は濃紫〜白、覆輪花、鉢植えに向くヒメライラックなどがあり春の訪れを教えてくれる。この時期は菜種梅雨の影響で晴れ間が少なく、晴れた日に見上げ青空を背に1枚の風景写真を狙う。

薬草園スタッフ 川上

モクセイ科ハシドイ属の落葉高木。高さ5mほどになる。
学名 Syringa vulgaris L.
和名 ムラサキハシドイ

 ヨーロッパ東南部のバルカン半島中部が原産。日本へは明治中期に渡来し、おもに観賞用として庭に植栽される。和名の「ムラサキハシドイ」は、日本原産で白色の花を咲かせるハシドイに由来する。花期は春。花に強い芳香がある。紫色を中心に、白、赤、青、八重咲など、品種が多い植物。寒さに強いため関東以北、北海道に多く植えられており、札幌市では市のシンボルの木とされている。
 古代ギリシャでは羊飼いがライラックの枝で笛を作っていたという話があり、属名 Syringa は、“笛”の意味を持つギリシャ語に由来している。ライラックの笛はどんな音色なのだろうか。機会があれば、ぜひ聴いてみたい。



今月のカレンダー“アオキ”の実は、2015年12月カレンダーでご覧いただけます。

3月-March-


クサボケ

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オウバイ

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アミガサユリ

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ネコヤナギ

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スギナ

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スギナ(杉菜)

シダ植物 トクサ科トクサ属の多年草。
学名 Equisetum arvense L.
属名は「馬 equus」+「刺毛 saeta」で、細い枝を多数段々に輪生するスギナの形を馬の毛に例えたもので、英名を「horse tail」という。

 日本では、全国の各地、日当たりの良い草地などに生える。地下茎に胞子茎と栄養茎があり、早春に地表に顔を出すのは胞子茎で、これがスギナよりも有名なツクシである。

 ツクシ(土筆)の名前の由来は諸説あるが、はかまを継いで遊んだことから方言のツギツギボウシが変化したとする説などは、春先に遊ぶ子供たちの姿が思い浮かび楽しそうである。
 『花と樹の大事典』(1996年出版)によれば、スギナの方言は全国で160以上、ツクシは500以上もあるといわれているそうで、古くから私たちに身近な植物だったことが伺える。また、同書によると、「ツクシのはかまの部分から茎を抜いて元通りに差し込み、どこを継いだか当てるのは、子供の代表的な春の野遊びであった」という。懐かしく思い出す方もおられるかもしれない。

 和名の`杉菜’は葉がスギの葉に似ているためにこの名がついたといわれ、漢名を`接続草’という。和名`土筆’は呼び名の‘つくし’にあてた漢字表記であり、漢名を`筆頭菜’という。
 漢名については、図書や額田文庫デジタルコレクション等の‘問荊(もんけい)’の項にてご覧いただけます。

接続草

[図書]
新註公定国訳本草綱目 第五冊 全十五冊(春陽堂書店)
 習志野メディアセンター資料請求番号[499.9.Ri.5]

[WEB]
額田記念東邦大学資料室 額田文庫デジタルコレクション
 本草綱目 第十五巻  98/102ページ

筆頭菜

[図書 カラー]
本草図譜 16(濕草) 岩崎潅園著(同朋舎出版) ※神宮文庫西村広休旧蔵写本の複製
 資料請求番号[499.9:Ho]

[WEB “国立国会図書館デジタルコレクション”のページへ移動します]

国立国会図書館デジタルコレクション
 本草図譜. 13(濕草類4 34種)  岩崎常正 著 (本草図譜刊行会) 24/30ページを参照

2021年2月現在、当館では入構制限を行っております。
是非、額田文庫デジタルコレクションをお楽しみください。

2月-February-


アキタフキ

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ミチノクフクジュソウ

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アシタバ

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トサミズキ

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キンギョソウ

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トサミズキ

 トサミズキやキブシの花を見ると山に出かける時期が来た。早春の虫たちに会える。特に会いたい虫がビロードツリアブ。春にしか会えない山間のアブ。ホバリングするだるまのような虫。まるでハチドリの様、愛くるしい虫。この花を見ると色々と忙しくなる。

薬草園スタッフ 川上

マンサク科 トサミズキ属
学名 Corylopsis spicata Siebold et Zucc.
和名 土佐水木

 四国(高知県)の蛇紋岩地帯や石灰岩地に自生する落葉低木。高さ2-4mほど。3-4月の開花前に前年枝の先や節から穂状花序を垂らし、7-8個の淡黄色の花を開く。自生地はふつう蛇紋岩地帯のようなところだが、栽培する場合、実際には適当な湿気のある土地ならどこでも育つという。
 江戸時代から好んで植えられてきた植物で、現在は公園樹として各地で見ることができる。また花材として利用されており、インターネット通販でも購入することができる。
 トサミズキ(土佐水木)の名は本種が土佐(高知県)に産することによる。

ちょっと寄り道
 トサミズキは早春に花が咲く植物なので、植物の動き始める時期が早く2月頃からどんどん水を上げ始めます。ですので、花の時期に枝を切ると切り口から水が滴り落ちます。そのくらいに瑞々しいのでミズキと呼ぶようです。成長が止まる夏では殆ど出ることはありません。他の植物も同じですが、成長期に太いところを切ると、このことが原因で枯れることがあるので、植物によって剪定の時期が違うのです。剪定は基本的に休眠期に行います。わかりやすく言えば葉が落ちたころです。

1月-January-


ダンドク

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ムクロジ
(実)
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ジャコウソウ

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キンシナンテン

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フクジュソウ

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フクジュソウ

キンポウゲ科 フクジュソウ属
学名 Adonis romasa Franch.
和名 福寿草

 北海道、本州、九州および千島、サハリン、朝鮮半島、中国東北部、シベリア東部に分布。草地、林内に生え観賞用などに栽培される多年草。草丈10-30cmほど。花期は2-4月。
 日本のレッドデータ検索システムによると、環境省のカテゴリでの指定は無いものの、絶滅危惧1類、2類に指定されている自治体も多い。

 和名“福寿草”の由来には「旧暦の元日頃に姿を現し、正月の飾りとされたため、めでたい福寿(幸福と長寿)の語をつけた。」という説、「開花期の長いことが長寿に、また黄金色の花が黄金に通じるとされたため」という説などがある。正月に欠かせぬ吉祥花として尊重されているものだけに、めでたい別名も多いという。『四季の花事典』(八坂書房)では、次のような名が紹介されている。
 元日草、正月花、朔日草(ついたちそう)、賀正蘭(がしょうらん)、報春花(ほうしゅんか)、福人草(ふくじんそう)、福神草(ふくじんそう)、歳旦草(さいたんそう)、長寿菊(ちょうじゅぎく)、雪蓮(ゆきはちす)、献歳菊(けんさいぎく)、福徳草(ふくとくそう)、満作草(まんさくそう)、福づく草、ふじぎく、などなど。
いずれも福々しい名前で、眺めているだけでもご利益がありそうな気がしてくる。
 これほど好意的な名づけがある一方で、俳人小林一茶は自宅で咲いた白花のフクジュソウを見て、腹いせに貧乏草と呼んだのだというエピソードがあるのだとか。黄金色に輝くフクジュソウを待ち焦がれていたのだろうか。

著作権について

ここに掲載する写真は著作権で保護される著作物です。 許諾の無い複製、商用目的の利用を禁じます。

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著作権者 細田凱子

Copyright Medicinal Herb Garden, TOHO Univ.
著作権者 東邦大学薬学部付属薬用植物園

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著作権者 東邦大学メディアネットセンター

参考図書

参考Webサイト

参考資料

‘PICK UP’ 回顧録ほか、コメント : 薬草園 川上

‘PICK UP’ 文責 : 習志野メディアセンター(バーチャルラボラトリ担当)