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薬草園の世界
東邦大学 薬学部 生薬学教室
小池 一男

7月-July-


メハジキ

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セイヨウニンジンボク

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石化アジサイ

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コオニユリ

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パイナップル
(観賞用)
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アジサイ

学名 Hydrangea macrophylla(Thunb.) Ser. f. macrophylla
アジサイ科アジサイ属の落葉低木。
 ガクアジサイを母種とした園芸種。花期は初夏。他のアジサイと区別するためにホンアジサイともよばれる。花びらのように見える部分は装飾花のガク片で、中央にある小さな球状のものが開花していない退化した花弁。中には雄しべ・雌しべがあるが結実しない。通常花はこの大きなガク片をかき分けるとひっそりと咲いていたりする。装飾花は花粉を媒介する昆虫を花序に引き付ける役目をしていると考えられている。

 日本中に広く見られるアジサイには、かんざしばな(山形)、てまりか(熊本)、てんまる(香川)など、他にもたくさんの方言がある。別名を“シチヘンゲ”とも。これはアジサイが咲き終わるまでに次々と色を変えることからついた名前と言われる。葛飾北斎や歌川広重も、色の移ろうアジサイの姿を版画や浮世絵に描いている。

石化アジサイ

趣味家の交換会で30年ほど前に一枝入手。石化というより帯化した茎がアジサイでは初めて見た。キャンパスに植えて大きくしたら石化が抑えられ普通の木になるが、挿し木をし、勢いがつくまでは石化になる。

コオニユリ(フィルム写真:尾瀬にて)

 いまはむかし。季節はちょうど今頃の、梅雨に入るかどうかの時期のやっとの晴れ間の写真。それでなくても雨の多い土地柄、この年は例年より早く咲いてくれた。前年の秋枯れかけた草を発見。どうしても花が見たい一心。なぜか胸騒ぎがし、ダメもとで出かけ早めに訪れてばっちり!1時間ほど眺めていた記憶がよみがえる。

6月-June-


トリトマ

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オニサルビア

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フェイジョア

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マタタビ
(葉)
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タチアオイ

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マタタビ

マタタビ科マタタビ属
学名 Actinidia polygama (Siebold et Zucc.) Planch. et Maxim.
 北海道、本州、四国、九州、朝鮮半島、中国、南千島、サハリン、ウスリーに分布。山地の林縁や山沿いなど、やや湿った場所に自生する落葉つる性草木本。雌雄異株。高さ5mほどになる。若枝には柔毛があるが、成長するにつれて無毛になる。


 花期(6-7月)には雄株の枝先の葉が白っぽく変色する。これは葉を目立たせて昆虫に花の存在を知らせるためと考えられている。そして、マタタビアブラムシが雌株の子房に卵を産み付けると、子房が異常発育してぼこぼこになる。この様子がカメの甲羅を連想させることから、アイヌ語で“冬の亀の甲羅”を意味する「マタタンプ」と名付けられ、これが転訛してマタタビとなったという説がある。語源説には他にも、元気をなくした旅人がこの実の香りで元気を取り戻し、「また旅をしたい」、「また旅に出られた」からという「また旅」説もある。ここで言う旅人とは、とある有名人たちである。気になったら、是非調べてみていただきたい。

5月-May-


ヤグルマギク

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サントリソウ

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イタチハギ

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ショウキウツギ

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ホオノキ

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ショウキウツギ(鍾馗空木)

 花の無い蕾の時期や花弁落下後のガクだけの様子を見るととても面白い形をしている。蕾の時はどんな花が咲くのか,咲いてびっくりガクに似つかずとてもきれいな花。花が落ちるとまた面白い姿が現れる。山野草好きに好まれる花木だ。

スイカズラ科ショウキウツギ属
学名 Kolkwitzia amabilis
中国原産。高さ2-3mほどになる。若い枝は有毛。花期は初夏。

 実のまわりに生えているヒゲがショウキの髭に似ていることから「ショウキ」の名がついた。さて、ショウキとは・・・?

唐代の初め頃。鍾馗という終南出身の一人の青年の話。雍州(長安のあった州)での出来事。(中国の民間伝承による。)

 玄宗皇帝が驪山(りざん)に視察に出掛けた帰り道、宮殿に戻る途中で突然風邪をひいた。重症となり、なかなか治らず、高熱にうなされる夢の中に小鬼が出てきた。小鬼は赤い服を着て破れた帽子を被り、宝物を盗み出して暴れている。背中には扇を差し、片方だけ靴を履いている。 皇帝が激怒すると、藍色の服を着た髭を生やした大鬼が現れ小鬼を捉えて食べてしまった。 皇帝が名を問えば、「終南の進士、鍾馗です。」と答えた。そして「昔、科挙の試験に合格したものの、私の外見が悪いことを理由に不合格とされ、恥ずかしさから宮殿の階段で自ら命を絶った者です。死後は悪い小鬼を退治しています。皇帝の命により手厚く葬られたので、その恩に報いるため皇帝と国を守ると誓ったのです。」と述べた。
 夢から覚めると、玄宗皇帝は病気が治っていることに気づいた。すぐに有名な画家を呼び、夢で見たままの鍾馗の姿を描かせた。そして、その絵を飾り鍾馗を神として祀ることとしたという。
 これが庶民の間にも広く伝わり「鍾馗さま」の絵が魔除けとしてい家々に貼られるようになった。この風習が日本へ渡来した時期は定かではないが、平安時代末期には辟邪絵に「鍾馗」が登場している。描かれた鍾馗さまの髭は確かに立派で、とても印象的である。どこかで見かけたかと記憶を辿れば、青森のねぶた祭にも勇ましい姿で登場している。なるほど、この髭はショウキウツギの実が纏う茶色のヒゲと様子がよく似ている。
 鍾馗さまは、江戸時代以降、厄病除け・魔除け学業成就の神様として五月人形にしたり、屋根に置く風習が見られるようになったという。京都では現在でも屋根の上に鍾馗さまを見つけることができるそうである。時節柄、どこかで鍾馗さまに出会えるかもしれない。鍾馗さまを祀る神社や祭りもあるようなので、興味を持たれた方は是非調べてみていただきたい。

4月-April-


イチョウ

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カタクリ

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モッコウバラ

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ダイコン

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ササバギンラン

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カタクリ〜春の妖精〜

 カタクリは、‘スプリング・エフェラメル(春の妖精)’と呼ばれる春の植物のひとつ。スプリング・エフェラメルにはニリンソウ、ショウジョウバカマやフクジュソウなど他にも早春から開花する植物がいくつもあるので、興味のある方は是非調べてみていただきたい。

 ユリ科カタクリ属。日本各地、およびロシア極東の温帯から暖帯に分布。山地の落葉樹林の林床や野原や牧草地などに生える。春、地下深く入る鱗茎から一対の葉が出て、まもなく開花する。花期は5月頃。

 カタクリの種は一部アリによって運ばれるものがある。それらは、一旦は巣に持ち返られるのだが、その後放り出されてしまうという。お役御免となり、アリによって散布された種はその後、150日程度の休眠期を経て秋口の11月中旬以降に発根がはじまる。そして雪解けを待って、まずは糸のような細い葉をいっせいに伸ばすという。

 花の根元に開く長楕円形の葉とは違うその形状を「ネギのよう」と形容する人も。しかし、ここからすぐに開花するわけではなく、春に葉を伸ばし、そして枯れることを繰り返しながら、開花に必要なエネルギーを少しずつ鱗茎に蓄積する。やがて、最初の葉を出してから7-8年が経過したころに満を持して濃紫色の花を1輪咲かせる。なので、種をまいた翌年からは「花が咲かない」と寂しがらずに、じっくりと‘その時’を待ってみていただきたい。葉の形状は1年目の「まるでネギ」状から開花の年まで徐々に変化してゆくというから、それを見るのも楽しみである。

 形状については、2年目からは1枚の長卵形、開花期には見慣れた形状の2枚に。そして、自生地では2年に1回の開花(葉が1枚、2枚を繰り返す)という話も聞かれる。
 カタクリは実にマイペースな妖精さんのようだ。

3月-March-


トサミズキ

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バイカオウレン

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ミツマタ

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ショウジョウバカマ

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コマツナ

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コマツナ

 アブラナ科アブラナ属
 学名 Brassica rapa L. var. perviridis L.H.Bailey
 関東地方でカブとアブラナとの交雑から生じ、現在野菜として栽培される越年草。カブのように根部が肥大しない。
 花期は春。カブやハクサイに似た形状で、耐寒性が強く冬の間の新鮮な緑色野菜として用いられる。地域差はあれど、雑煮の主役でもある。東京では菜(コマツナ)と鶏(鶏肉)とを使った雑煮が「なとり雑煮」と呼ばれる。菜を「名」、鶏を「取り」と同音異字に置き換えて「名取り」。立身出世を願う縁起をかついだ名称である。

 コマツナ(小松菜)の由来は、旧武蔵野国南葛飾郡小松川村(現在の東京都江戸川区小松川)で多く産出したことからといわれる。八代将軍徳川吉宗が鷹狩の途中に、御膳所と呼ばれる家で食べた雑煮のなかにあったこの青菜を気に入り、とくに名前がなかったので小松菜と命名した、とも。命名者は五代将軍綱吉との説もあるらしい。

 別称にフユナ、カサイナ、フクタチナ、ウグイスナなどがある。
 コマツナの祖先は、奈良時代以前に日本へ伝わり各地に定着したカブの「茎立ち(ククタチ)」と言われる葉采に由来。江戸時代から現在まで都市周辺で栽培されており、様々な種類がある。長岡菜や野沢菜も近縁とされる。フユナは冬の食膳に供されることから‘冬菜’。カサイナは‘葛西菜’と書き、小松川村の隣の葛西村に由来する。また、春撒きの二、三寸伸びたものが「鶯菜(ウグイスナ)」とよばれた。これは鶯の訪れる季節に食用として収穫することからとされる。

 コマツナはビタミンAを多く含み、他の野菜に比べて特にカルシウムの含有量がとても多い。現代の日本人には嬉しい植物・・・野菜である。とくに油を使う料理ではビタミンAが効果的に吸収できるそうなので、ランチのメニューに迷ったらコマツナを使った一品を探すのも良さそうだ。

2月-Februay-


アカバナマンサク

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キバナムラサキ

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コセリバオウレン

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ヒュウガミズキ

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ツバキ
(タマアリアケ)
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ツバキ

 ツバキ科の常緑高木または低木。本州、九州、四国の海岸付近の丘陵地に多く生育し、また山中にも見られる。観賞用として広く植えられる植物で多くの園芸品種があり、自生品はヤマツバキまたはヤブツバキ(学名:Camellia japonica L.)と呼ぶ。他に日本海側の多雪地帯のコナラやブナの落葉広葉樹林内に生えるユキツバキ(学名:Camellia rusticana Honda)という変種、ヤブツバキとユキツバキの自然交雑で生じたユキバタツバキ(学名:Camellia x intermedia (Tuyama) Nagam.)とがある。

和名の由来には、古語「ツバ」(光沢のあるさまをいう)からの派生説や、ツヤハキ(艶葉木)、アツハキ(厚葉木)、光葉木(テルハキ)、あるいは葉が落葉せず変わらないことから、`寿’を用いたツバキ(寿葉木)など様々。また朝鮮語の冬柏「ツンバク」からとする説もあり、これを最有力とする見方もある。

 1775年(安永4年)にオランダ商館医として来日したスウェーデンの植物学者カール・ペーター・トゥーンベリ(Carl Peter Thunberg)が、ロンドンのキューガーデンにツバキ4株を送った。植物の学名で命名者を示す場合に使われる`Thunb.’とは、彼のことである。
 この時の1株がドイツ東部ドレスデン近郊のエルベ川沿いにあるピルニッツ庭園で今も健在で、高さ8.6m、直径は11mにもなっているという。冬の寒さが厳しいこの地では、当初は藁やむしろでツバキを覆い、後に木造・ガラス張りの温室が建てられたが焼失。火災を生き延びた現在、ツバキはコンピュータでばっちり制御された可動式の専用温室(高さ13.2m、重量54t)に護られている。内階段付きのガラス張りの温室では二階部分から全方向より観賞することもできるらしい。この巨大な温室は暖かくなるとレールの上をスルスルと移動して次の冬までツバキの隣に控えるのだ。その様子を掲載しているWEBサイトもあるので是非検索してみていただきたい。

 そんな現在の技術を駆使して大切に護られるツバキと日本人とのかかわりは、5000年ほど前に遡ることができる。福井県三方五湖の縄文時代の遺跡`鳥浜貝塚’からはツバキの材を利用した石斧の柄が出土しており、ツバキ細工の櫛も発見されているという。
 5000年とはゆかないまでも、京都府与謝野町には推定樹齢1200年の「千年ツバキ」と呼ばれる立派な大椿があり、京都府指定天然記念物となっている。
 ドレスデンは遠いけれど、京都なら次の旅行先候補に入れることもできそうだろうか。

1月-January-


ハコベ

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オオベニゴウカン

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リクチメン
綿毛
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フクジュソウ
(金采)
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クヌギ

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クヌギ

 ブナ科の落葉低木 花期は5月。堅果は一般的に「どんぐり」と呼ばれる。花後、その年にはあまり大きくならず、翌年に熟して直径2cmほどの濃褐色の球形になる。殻斗は椀形。

 和名の由来:「転じた説」編
 クニキ(国木)から転じた説:日本書紀に景行天皇がこれを命名した伝承説話があるとか。
 クノキ(食之木)から転じた説:食用の実をつけるブナ科樹木の総称から。
 クズニルキ(屑煎木)から転じた説:皮を煎じて染料にすることから。
 クリニギ(栗似木)から転じた説:栗の木に似ていることから。など、「転じた説」のほかにも諸説ある。

学名 Quercus acutissima Carruth.
属名「良質の quer」+「材木 cuez」の通り、火持ちがよく火力も強いので薪炭材として極めて良質。
漢名 櫟、橡 「橡」は日本語でつるばみと読み、どんぐりの古名。
和名漢字表記 櫟、椚、橡 このうち「椚」は門のところにある境目の木(区の木)から転じた国字。

 ところで、ブナ科の葉はヤママユガの好物だそう。
 ヤママユガ(天蚕)の繭を見たことがあるだろうか。この繭からは糸を得ることができる。天蚕糸と呼ばれる萌黄色の希少な糸で、長野県では養蚕と絹織物の生産に力を入れているまちがある。是非、キーワード ‘長野県’,‘天蚕’ で調べてみていただきたい。
 櫟という漢字を見てみよう。「櫟」は白、幺、木とともに樹木の限定符号「木」で成り立っている。白はどんぐりを描いた図形、幺はヤママユガの作る繭の形を表しており、ここに木を合わせたものがクヌギを表す原字だという。どんぐりの成る枝に萌黄色の繭がぶら下がっている様子を思い浮かべてみる。葉が落ちて良く見えるようになった枝がコロコロとした飾りを纏っている。
 クヌギという木に丸いもの(繭)や粒状のもの(どんぐり)がごろごろついているという視覚的なイメージが、楽器が賑やかな音を立てるという聴覚的なイメージに繋がり、「樂」は音楽や愉楽を表す文字となったとか。そのため、クヌギは樹木の限定符号をつけて「櫟」と表記するようになったそう。

 漢字の成り立ちについて参考にさせていただいた、「植物の漢字語源辞典」(加納喜光著/東京堂出版)では、つぶつぶと賑やかな音を表す「樂」繋がりでこんな漢字が紹介されている。
  薬 草を粒状にすりつぶしたもの → くすり
  礫 ごろごろした石の塊や粒 → つぶて
  轢 車輪で粒状にすりつぶす → ひく
  爍 火光の粒が四方に出る など「丸い塊や粒状を呈する」 というイメージ
クヌギには全く関係のなさそうなものも、視点を変えると繋がっているものである。

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‘PICK UP’ 文責:習志野メディアセンター(バーチャルラボラトリ担当)