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薬草園の世界
東邦大学 薬学部 生薬学教室
小池 一男

3月-March-


トサミズキ

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バイカオウレン

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ミツマタ

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ショウジョウバカマ

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コマツナ

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コマツナ

 アブラナ科アブラナ属
 学名 Brassica rapa L. var. perviridis L.H.Bailey
 関東地方でカブとアブラナとの交雑から生じ、現在野菜として栽培される越年草。カブのように根部が肥大しない。
 花期は春。カブやハクサイに似た形状で、耐寒性が強く冬の間の新鮮な緑色野菜として用いられる。地域差はあれど、雑煮の主役でもある。東京では菜(コマツナ)と鶏(鶏肉)とを使った雑煮が「なとり雑煮」と呼ばれる。菜を「名」、鶏を「取り」と同音異字に置き換えて「名取り」。立身出世を願う縁起をかついだ名称である。

 コマツナ(小松菜)の由来は、旧武蔵野国南葛飾郡小松川村(現在の東京都江戸川区小松川)で多く産出したことからといわれる。八代将軍徳川吉宗が鷹狩の途中に、御膳所と呼ばれる家で食べた雑煮のなかにあったこの青菜を気に入り、とくに名前がなかったので小松菜と命名した、とも。命名者は五代将軍綱吉との説もあるらしい。

 別称にフユナ、カサイナ、フクタチナ、ウグイスナなどがある。
 コマツナの祖先は、奈良時代以前に日本へ伝わり各地に定着したカブの「茎立ち(ククタチ)」と言われる葉采に由来。江戸時代から現在まで都市周辺で栽培されており、様々な種類がある。長岡菜や野沢菜も近縁とされる。フユナは冬の食膳に供されることから‘冬菜’。カサイナは‘葛西菜’と書き、小松川村の隣の葛西村に由来する。また、春撒きの二、三寸伸びたものが「鶯菜(ウグイスナ)」とよばれた。これは鶯の訪れる季節に食用として収穫することからとされる。

 コマツナはビタミンAを多く含み、他の野菜に比べて特にカルシウムの含有量がとても多い。現代の日本人には嬉しい植物・・・野菜である。とくに油を使う料理ではビタミンAが効果的に吸収できるそうなので、ランチのメニューに迷ったらコマツナを使った一品を探すのも良さそうだ。

2月-Februay-


アカバナマンサク

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キバナムラサキ

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コセリバオウレン

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ヒュウガミズキ

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ツバキ
(タマアリアケ)
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ツバキ

 ツバキ科の常緑高木または低木。本州、九州、四国の海岸付近の丘陵地に多く生育し、また山中にも見られる。観賞用として広く植えられる植物で多くの園芸品種があり、自生品はヤマツバキまたはヤブツバキ(学名:Camellia japonica L.)と呼ぶ。他に日本海側の多雪地帯のコナラやブナの落葉広葉樹林内に生えるユキツバキ(学名:Camellia rusticana Honda)という変種、ヤブツバキとユキツバキの自然交雑で生じたユキバタツバキ(学名:Camellia x intermedia (Tuyama) Nagam.)とがある。

和名の由来には、古語「ツバ」(光沢のあるさまをいう)からの派生説や、ツヤハキ(艶葉木)、アツハキ(厚葉木)、光葉木(テルハキ)、あるいは葉が落葉せず変わらないことから、`寿’を用いたツバキ(寿葉木)など様々。また朝鮮語の冬柏「ツンバク」からとする説もあり、これを最有力とする見方もある。

 1775年(安永4年)にオランダ商館医として来日したスウェーデンの植物学者カール・ペーター・トゥーンベリ(Carl Peter Thunberg)が、ロンドンのキューガーデンにツバキ4株を送った。植物の学名で命名者を示す場合に使われる`Thunb.’とは、彼のことである。
 この時の1株がドイツ東部ドレスデン近郊のエルベ川沿いにあるピルニッツ庭園で今も健在で、高さ8.6m、直径は11mにもなっているという。冬の寒さが厳しいこの地では、当初は藁やむしろでツバキを覆い、後に木造・ガラス張りの温室が建てられたが焼失。火災を生き延びた現在、ツバキはコンピュータでばっちり制御された可動式の専用温室(高さ13.2m、重量54t)に護られている。内階段付きのガラス張りの温室では二階部分から全方向より観賞することもできるらしい。この巨大な温室は暖かくなるとレールの上をスルスルと移動して次の冬までツバキの隣に控えるのだ。その様子を掲載しているWEBサイトもあるので是非検索してみていただきたい。

 そんな現在の技術を駆使して大切に護られるツバキと日本人とのかかわりは、5000年ほど前に遡ることができる。福井県三方五湖の縄文時代の遺跡`鳥浜貝塚’からはツバキの材を利用した石斧の柄が出土しており、ツバキ細工の櫛も発見されているという。
 5000年とはゆかないまでも、京都府与謝野町には推定樹齢1200年の「千年ツバキ」と呼ばれる立派な大椿があり、京都府指定天然記念物となっている。
 ドレスデンは遠いけれど、京都なら次の旅行先候補に入れることもできそうだろうか。

1月-January-


ハコベ

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オオベニゴウカン

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リクチメン
綿毛
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フクジュソウ
(金采)
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クヌギ

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クヌギ

 ブナ科の落葉低木 花期は5月。堅果は一般的に「どんぐり」と呼ばれる。花後、その年にはあまり大きくならず、翌年に熟して直径2cmほどの濃褐色の球形になる。殻斗は椀形。

 和名の由来:「転じた説」編
 クニキ(国木)から転じた説:日本書紀に景行天皇がこれを命名した伝承説話があるとか。
 クノキ(食之木)から転じた説:食用の実をつけるブナ科樹木の総称から。
 クズニルキ(屑煎木)から転じた説:皮を煎じて染料にすることから。
 クリニギ(栗似木)から転じた説:栗の木に似ていることから。など、「転じた説」のほかにも諸説ある。

学名 Quercus acutissima Carruth.
属名「良質の quer」+「材木 cuez」の通り、火持ちがよく火力も強いので薪炭材として極めて良質。
漢名 櫟、橡 「橡」は日本語でつるばみと読み、どんぐりの古名。
和名漢字表記 櫟、椚、橡 このうち「椚」は門のところにある境目の木(区の木)から転じた国字。

 ところで、ブナ科の葉はヤママユガの好物だそう。
 ヤママユガ(天蚕)の繭を見たことがあるだろうか。この繭からは糸を得ることができる。天蚕糸と呼ばれる萌黄色の希少な糸で、長野県では養蚕と絹織物の生産に力を入れているまちがある。是非、キーワード ‘長野県’,‘天蚕’ で調べてみていただきたい。
 櫟という漢字を見てみよう。「櫟」は白、幺、木とともに樹木の限定符号「木」で成り立っている。白はどんぐりを描いた図形、幺はヤママユガの作る繭の形を表しており、ここに木を合わせたものがクヌギを表す原字だという。どんぐりの成る枝に萌黄色の繭がぶら下がっている様子を思い浮かべてみる。葉が落ちて良く見えるようになった枝がコロコロとした飾りを纏っている。
 クヌギという木に丸いもの(繭)や粒状のもの(どんぐり)がごろごろついているという視覚的なイメージが、楽器が賑やかな音を立てるという聴覚的なイメージに繋がり、「樂」は音楽や愉楽を表す文字となったとか。そのため、クヌギは樹木の限定符号をつけて「櫟」と表記するようになったそう。

 漢字の成り立ちについて参考にさせていただいた、「植物の漢字語源辞典」(加納喜光著/東京堂出版)では、つぶつぶと賑やかな音を表す「樂」繋がりでこんな漢字が紹介されている。
  薬 草を粒状にすりつぶしたもの → くすり
  礫 ごろごろした石の塊や粒 → つぶて
  轢 車輪で粒状にすりつぶす → ひく
  爍 火光の粒が四方に出る など「丸い塊や粒状を呈する」 というイメージ
クヌギには全く関係のなさそうなものも、視点を変えると繋がっているものである。

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