鉄と老化
寿命と鉄
鉄が寿命に与える影響についての研究はとても少ないです。1993年にMassieらは紅茶(テトリー茶)の抽出液(鉄吸収阻害成分であるタンニンなどを含む)をショウジョウバエに与え、寿命に対する影響を調べました。その結果、テトリー茶の抽出液を与えたショウジョウバエの総鉄量は生涯に渡り低いレベルを保ち続け、寿命が約1.2倍に延長することが明らかになりました。しかし、この実験からだけではテトリー茶の寿命延長効果が鉄吸収阻害の単独の効果よるものか、あるいは紅茶に含まれる他の成分による効果(例えば、タンニンを含めたカテキンなどのポリフェノール類による抗酸化作用など)によるものかは厳密な意味ではかわかりません。
最近、私達はマウスに低鉄飼料を離乳期後から与え続け、寿命にどのような影響があるかを調べました。その結果、低鉄飼料を与えたマウスの寿命が有意に延長しました。このように加齢に伴う鉄蓄積は、動物の寿命に対してマイナスに働いているようです。
図5

- はじめに
- 加齢に伴う鉄蓄積
- カルボニル化タンパク質と鉄
- 寿命と鉄
- おわりに