鉄と老化
加齢に伴う鉄蓄積
加齢に伴う鉄蓄積は昆虫からヒトに至る多くの動物種の様々な組織で認められており、かなり一般化できる現象です。例えば、キイロショウジョウバエの鉄蓄積量は加齢に伴い増加し続け老齢期には若齢期の2〜3倍に達します[図1]。同様な加齢に伴う鉄蓄積は、マウスの肝臓[図1]やラットの肝臓、脳、腎臓でも認められています。
図1

ヒトの場合は加齢に伴う鉄蓄積の様子がショウジョウバエやマウスなどとは異なります。体内の鉄蓄積量(貯蔵鉄量)の指標される血清フェリチン量は、男性の場合は若齢期から中年期まで年齢とともに増加し、その後はほぼ一定となります。ところが、女性の場合は中高齢期まで血清フェリチン量は低い値を保っていますが、その後急激に増加します[図2]。この急激な血清フェリチン量の増加は、50歳ぐらいの女性にみられる閉経による影響です。
図2

- はじめに
- 加齢に伴う鉄蓄積
- カルボニル化タンパク質と鉄
- 寿命と鉄
- おわりに