ツバキ科ツバキ属
学名 Camellia sinensis
APG牧野植物図鑑によれば、チャノキは中国に分布し、ときに野生化する常緑小高木である。日本へは805年に最澄が薬用の目的で唐から持ち帰り、1191年に栄西が種子を製法とともに宋から持ち帰り、飲用として広まったとされる。茶葉の生産のために高さ1mほどに刈り込み栽培される。花期は9月下旬〜12月。
チャノキはお茶の原料となる木です。お茶には多くの種類がありますが、その中でもチャノキから作られるお茶には緑茶、ウーロン茶、紅茶があります。作り方によって色や香りが違うお茶になります。茶葉は収穫後にそのまま置いておくと、茶葉に含まれる酸化酵素によって発酵し変色していきます。ですが、加熱処理をすることで発酵が止まります。発酵の度合いの違いがお茶の違いなのです。
不発酵茶の「緑茶」
収穫後すぐに発酵を止めたお茶が緑茶です。緑茶を作るときには収穫後の茶葉をすぐに蒸して加熱処理が施されます。これは酸化酵素の働きを止めるためで、このことによって茶葉の発酵が止まります。蒸しあげられた葉には葉緑素が分解されずに残るため、この葉緑素が日本茶を淹れたときにきれいな緑色を生み出すのです。発酵していないお茶なので不発酵茶と呼ばれます。
ウーロン茶と紅茶は茶葉の発酵を促進させて作るので発酵茶と呼ばれます。
収穫後の茶葉を天日干しにした後に圧力をかけて揉む(揉捻)工程があります。この時に茶葉の組織や細胞が破壊され、酸化酵素の働きが促進されてお茶の発酵が進みます。
半発酵茶の「ウーロン茶」
発酵を促進させ、茶葉に緑色の部分を半分残して周辺が赤茶色に変化した頃合いが半発酵の状態です。釜で炒り、発酵を止めた後にいくつかの工程を経てウーロン茶が出来上がります。
発酵茶の「紅茶」
紅茶はウーロン茶よりもさらに発酵を進めます。天日干しをした後に揉捻と冷却を繰り返し、茶葉の全体が赤茶色に変化した頃合いに発酵を止めます。その後、いくつかの工程を経て紅茶ができあがります。発酵茶や完全発酵茶と呼ばれますが、文字通り完全に発酵をさせてしまうとお茶を淹れた時に黒っぽい色になったり、せっかくの良い香りが台無しになってしまうので、実際には途中で止めるのだそうです。
さて、お茶を淹れるために欠かせないものは水です。水には硬水と軟水があり、日本の水道水のほとんどは口当たりの良い飲みやすい軟水です。そのため、日本茶代表の緑茶は軟水で淹れるのが良いとされてきました。では、硬水は適さないのかというと、そうではなく、市販されている硬水の中には水道水よりもお茶を美味しく淹れることができるものがあるようです。さて、どの硬水が好みに合うでしょうか。数種類の硬水で淹れた緑茶の飲み比べをしてみるのも楽しそうです。