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町に帰ってきて帰国前日にウラジヴォストクの中心部を散歩しました。チュダエフ氏の息子のジェーニャと庸介と私は，海のそばの遊戯場や競技場があり多くの人々が集っている公園を気持ちよく散策していました。ここは何度も訪れている場所でとても落ち着くところです（
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どこからともなくロシア警察のパトカーが近付いてきて我々の脇にとまりパスポートの提示を求めたのです。我々はホテルでなく個人の家に民泊ですからパスポートを携帯しようと思えば出来たのですが，ホテルだとチェックアウトまでパスポートをホテル側が持っているのでこのような場合は携帯できないのが常です。たまたま私は両替のためパスポートを持っていたのですが，ビザがなく，また，庸介はな〜にも持っていませんでした。
銃を抱えた警察官にパトカーに乗れと指示され、日本人2人だけ緊急灯をつけたパトカーによって警察署に連れて行かれたのです。息子はおやじどうする？と言っていましたが、別に犯罪をおかしたわけでないので“何とかなるさ”とか“めったにこんな経験は出来ないぞ ”といって慰めながら“まあ楽しもう”と言った言葉に庸介は呆れていました。警察署に着いて全く分からないロシア語で調書を作りここにサインしろと言われ，何も分からずなすがままにされていた我々は挙げ句の果てには鉄格子の中で待っていろと言われました。
 ウラジヴォストクの街並み |
 潜水艦の置いてある公園（第二次世界大戦時に使用）。この公園の周りには軍関連施設が多数あり。 |
もちろん始めての体験で中には御夫婦と思われる先客がいました。その奥さんとうい人はどうも薬物中毒らしく鉄格子を握って何かわめいていました。警察官が黙れと言ったらしく，「おとなしくしないと別の部屋に入れるぞ」とも言っていました？ いや、言っていたみたいでした。旦那が力ずくで連れてきて机の上に女性を投げるようにしておきましたが，今度は泣きわめき出し収拾が着かなくなりました。こちらには危害はなく親しそうに話しかけられましたが，こちらも気持ち悪くまた言っている意味がわからずににやにやしていただけでした。
  旅券不所持、不法入国容疑者 |
こちらは“きっと金で解決かな？”と思い息子の財布に1万円，私の財布にも1万円あるから袖の下を出し大丈夫と思いながら，沙汰が下されるのを待っていました。さっきの危なそうなカップルは連れて行かれたので，私は鉄格子の中でＹ介の記念撮影をしてしまいました（）。“そんなに落ち着いていて大丈夫？”と少々不安げなＹ介でしたがそのうち取り調べ官が入ってきたので，ちょうどＹ介が持っていたロシア科学アカデミーのチュダエフ氏の名刺を渡したところ事態が変わりました。
“待っていろ”と言われたみたいで鉄格子の中で待っていると今度は庸介と同年代と思われるよっぱらった学生たちが入ってきました。彼等は気がよく我々に“おお日本人か！”“友だち”と言って抱きついてきました。
まぁ〜そのような状況で約2時間後にロシア科学アカデミーに連絡がとれ無事に解放されたのですが，その間，Ｙ介がトイレに行きたがったので，私の通じない下手なロシア語でトイレはどこですか？と警官を捕まえて聞いたところわかったらしく，「やったロシア語が通じたゾ！！」と思わず日本語で喜びを表現したら我が息子に“こんな事態なのに！まったく！”と呆れられてしまいました。
私は始めて覚えたこのフレーズが７年前の空港で通じずにがっかりしていたので，思わず喜んでしまった次第です。先ほどの酔っ払いの学生さんのうち数名は迎えに来た親に怒られ，また数名は本署？送りになったみたいです。
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警察と空港の出入国以外全く嫌な思いがなく，町であった人や見ず知らずの田舎のおじさんおばさんがいつも大変に親切にしてくれるロシアを去る日が来ました。帰りも例の小型ジェットでしたが，大きなテーブルはなく，狭いシートにちんまりと腰掛けていました。能登半島がきれいに見えてきて，その先端から富山平野に至るあたりを数回旋回し無事に富山空港に着陸しました。
乗り換えの飛行機まで数時間あったので庸介と富山で食事をする事にしました。富山空港の前の青々としたたんぼの前のコンビニに立ち寄りまずはおにぎりとサンドウィッチを買い２人で食べましたが，なんとなつかしくおいしかったことか…。ロシアの食事も大変においしかったのですが，日本に帰りコンビニの味で満足しているとは情けなや…。困ったものです。
Russian Academy of Science, Far East Geological Institute, Oleg Chudaev 氏ならびにRussian Academy of Science, Pacific Institute of Geography,Valentina Chudaeva 氏に感謝いたします。
なお詳細なる化学データは温泉科学第５３巻２号（2003年）p48- 60 を参照して下さい。
Oleg Chudaev 
