東邦大学名誉教授
山内 長承
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3.開発でのこだわり

WBTシステムの開発 −教員の手間を軽減する方法について

 WBTシステムは、スキルチェックや資格試験の模擬試験などさまざまな利用法が考えられますが、ここでは大学の授業の枠組みを前提に教員の手間を軽減する方法について検討しています。具体的には、学生の理解度チェックの簡易テストに用いています。

 大学では、大半の授業は単純スキルの開発ではなく、根本原理の理解や考え方の把握に費やされます。一方で、CAIやWBTでは採点や出題の容易さから、穴埋め問題や選択肢問題が中心となり、記述式の問題は実用上は採点が不能と言ってもよい状況にあります。
これを前提とすると、単純なドリルによるスキル開発は、CAIやWBT型の教材に比較的良くなじむと考えられますが、原理や考え方の理解は、CAIやWBTでは把握しづらい面があり、授業の理解度チェックには限界があります。

予習チェックと概念・用語理解チェックで教員の負担を軽減すること


  大学授業でのWBTの利用法として、予習チェックと概念・用語理解のチェックを考え、実験を行っています。一般に大学生は予習を期待されていますが、残念ながら殆どしないのが実態です。 そのため教科書や資料を指定し、学生はそれを予習し、授業時間中は内容を講義するより問題点を議論して更に理解を深める、といった本来の授業が成り立ちません。これを成り立たせる手段として、予習での理解をWBTを用いて、授業前という期限付きでチェックすることが考えられます。WBTの特徴であるチェック結果の即時評価を活用すると同時に、50人を越えるようなクラスであっても毎時間のチェックが教員の負担無く可能となります。
 ここでチェックに用いる内容は、教科書を読んでぜひ授業前に把握しておいて欲しい内容や用語を取上げます。特に用語は、把握できていないと授業での説明や議論が理解できないので、 授業成立のための最低限の条件になります。
WBTを用いていない頃によく聞かれた講義へのコメントとして、「用語が耳慣れないので授業が分からなかった」というのがありましたが、それを自分である程度克服してもらおうという考え方です。


現段階での理解度チェックは従来の筆記試験で行う


 このWBTチェックは、結果の点数が成績に関わるものとは考えませんが、授業時間より前に終わらせておくことを必須とし、それを満たさない学生には加点しないことにより、むりやりの動機付けをします。
  また、授業の理解度のチェックはWBTではなく、記述式の試験を行います。 この部分の教員の負担軽減は、現在の言語理解の技術ではまだ実用的には難しいと考えています。



講義ビデオアーカイブシステムの開発

多機能Webによる新しい教材の開発



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