掲載 2011年秋

引っ張ると拍動し始める肺静脈心筋

学部6年 疋田康

 薬学部6年の疋田康です。6年制薬学部の第一期生として研究に取り組んでいます。
 心房細動という病気をご存知でしょうか。心房細動とは心房付近から1分間に約350-600回の頻度で不規則な電気信号が発生し、電気信号のあまり早さのせいで心房筋がポンプの役割を果たせなくなってしまうというものです。
 この早い電気信号の発生源と言われているものに肺静脈心筋があります。肺静脈は肺から左心房へ血液を送る血管で、ここには心筋層があり、これを肺静脈心筋と呼んでいるのです。この肺静脈心筋は本来のペース―メーカ(洞房結節)と同様に、自発活動することが知られていて実際に肺静脈だけを取り出して見てみるとピクピクと拍動していることがわかります。
 私の研究はこの肺静脈心筋がどうやって自発活動を始めるのかモルモットの肺静脈心筋を使って調べることです。肺静脈心筋は常に一定のペースで拍動しているわけではありません。遅いペースのこともあれば、非常に速いペースのこともあります。時によっては全く動いてくれないこともあります。この勝手気ままに見える肺静脈心筋の自発活動にも何か原因があるはず。一つの可能性として私は引っ張り刺激(伸展刺激)というものに着目しました。伸展刺激を加えると動いていなかった肺静脈心筋が拍動しだしたり、また動いているものに伸展刺激を加えると拍動のペース早くなったりといった現象が観測できました。何度も失敗を重ねて、ようやくこの現象を観測できたときの喜びは今でも忘れられません。現在は、この現象の特徴をまとめ、何種類かの試薬を用いて薬理学的にこの現象の機序の解明に取り組んでいます。

 実験動物を扱う薬物学教室での研究は毎日実験に長時間かかったりするなどのハードな面もありますが、自分のやりたいことを自分なりの計画を立ててできる自由度もあり、魅力的な面もあります。意欲や興味があれば学部生でも充実した研究生活をおくれると思います。研究を本気でやってみたい学生さん、この教室で研究をしてみてはいかがでしょうか。

モルモット肺静脈心筋の自発活動
に対する伸展刺激の影響


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