4.考察と今後の取り組み
システムを稼動して分かったこと
2)ユーザインターフェースの問題
利用者がビデオアーカイブシステムを利用するために用意したユーザインターフェースは次の2種類としています。
日付を指定したときの全教室表示
授業(講義名や教員名)を指定したときの検索結果
これらについては、特に授業指定の検索のインターフェースに改善要求が出されました。
具体的には、検索結果を表示するのではなく「特定授業を1学期間分にわたって横表示したものを見たい」という希望です。
これは、比較的容易なユーザインターフェースの変更なので、間もなく変更を完了する予定です。
3)自宅や外部から見たいという要求
現在は、ビデオの公開はキャンパス内に制限しています。その理由は、ビデオが学外に流出することに不安があるからです。 将来的には、撮影される教員側にも視聴する学生側にも理解と了解が進んで、問題がなくなることを期待しています。
第1の問題 撮影される教材の著作権
教員が、他の人が著作権を持っている文書を不用意に教材として使用した場合、その文書を写した画面がインターネットを介して広く公開したと判断でき、その文書の著作権者から使用許諾を取っていない限りは著作権を侵したことになります。教育目的の利用に対する著作権の例外は無条件に認められるものではなく、複製した当人が授業で用いるといった要件が課せられています。
従って、公開を学内に限定したために著作権侵害がなくなるわけではありませんが、侵害の可能性がかなり小さくなることが期待できます。
第2の問題 学生のプライバシー
授業はその運営形態により、講師の一方的な講義である場合もありますが、学生が黒板に出て問題を解いたり、指名されて答えたりといった状況もありえます。
また、出席を取ったりすると名前を読み上げられるわけですが、これらがすべてビデオ撮影されいつでも見られるとなると、学生のプライバシーが侵害される危険性があります。
プライバシーについては予見できないさまざまな侵害が考えられます。
予め公開を前提に作られたビデオではないので、公開範囲はある程度限定することが望まれます。
「学内に限定する」もしくは「学外での視聴は認めるが本学学生や予め登録したユーザに限定する」
などの仕組が必要になると考えられます。
現在は当面、公開を学内に限り、且つ講義をする教員が承諾し、且つ出席している学生がいつでも公開停止を要求できるというルールで運用を開始しています。今後は徐々にプライバシー保護とメリットのバランスに関するコンセンサスが熟成されてゆくことを期待しています。
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