東邦大学名誉教授
山内 長承
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2.e-learningの歴史

e-learning第2期へ向けて


 最近は、インターネットの普及に伴うe-learningの当初の試みが一段落し、そこでの反省を踏まえて 第2期に入りつつあります。 それぞれのタイプの仕組について反省があり、たとえば次のように整理することができるでしょう。

CAIとWBT

CAIとその発展形であるWBTは、受講者の応答を見て出題を変えるための仕組が未熟だと言えます。応答を自動的に解析してその問題点を計算機が検出し、それに基づいて出題を変えるためには人間に近い知能処理が必要になるでしょう。またその判断ができるためには、個々の問題の意味に関する情報が必要ですが、その処理はまだ計算機では十分にできていません。そのため、いままでは人間が予めさまざまな回答パターンを推定し、パターンごとに次の出題を決めることが行われてきましたが、この作業は非常に手を要し、実際に起こるさまざまなパターンに十分対応するだけのパターンを準備することが難しくなります。その結果、単純なドリル問題に限定して用いたり、あまり複雑なパターンを準備できないきらいがあります。

VOD/ビデオアーカイブシステム

 講義をビデオ化して提供するサービスについては、テレビ放送の時代から言われていることですが受講者の集中が続かないことが挙げられます。放送大学等でも、講義の仕方を比較的短い(たとえば10〜15分程度の)サイクルに切って山を作るなどの工夫がされています。その点で、通常の対面クラスで 行われている講義を単にビデオ収録して提供する場合、集中が続かないという問題が起こります。先進的な内容であるなど、伝えられる情報が貴重な場合はそれでも視聴しますが、学部学生を対象とするクラスなどでは、学生が飽きてしまい十分な授業効果が得られないでしょう。
 対案として、ビデオ視聴を前提とした講義コンテンツを作ることが行われています。素材やシナリオ、時間配分を十分に吟味検討したうえで、講義を準備するものです。1回作成すると繰り返して利用できますが、作成には多大な時間と労力・手間がかかります。ビジネスとしては成り立つかもしれませんが、大学の講義の代替として片手間で作ることは難しいでしょう。


 コンテンツ形態の多様化は、コンテンツ作成者が技術的な多様化に十分対応できていないこと、また 多様なコンテンツ形態の導入効果について十分な評価が行われていないことが挙げられます。文字や静止画以外のコンテンツの作成は、一般的にはまだまだかなり手数がかかります。その手数を費やすだけの価値があるかどうかの判断には、導入効果の評価が必要です。さまざまな場合についてある程度信頼できる量の評価が集まるまでには、まだ時間がかかるものと考えられます。



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