■□■ 薬用・利用 ■□■
実と樹皮が薬用に用いられています。
実:苦棟子(くれんし)
【成分】 オレイン酸、パルミチン酸、リノレン酸、ステアリン酸、メルデニン、ニンビニン等
【利用】秋に黄色く熟した実を採取し、果肉部をそのまま使用する(ひび、しもやけ等)。また、陽乾して使用する。
樹皮:苦棟皮(くれんぴ)
【成分】タンニン、マルゴシン、アスカロール、バニリン酸、トーセンダン、センダニン、メリアノン、メリアノール、クエン酸、リンゴ酸等
【利用】表面のコルク質を取り除いて細かく刻み、陽乾する。虫下しには苦棟皮6-10gを煎じ、服用する。
■□■ センダン ■□■
センダンは古名をオオチ、アウチなどといい、日本では関東以西の暖地に分布する落葉高木です。
初夏に開花する花は淡紫色。おしべは紫色で、雌しべの周りに筒状に集まったような形をしています。
花が散ると緑色の実がなり、秋には黄色く色づきます。落葉後にも左の写真のように実が残ります。
▼初夏に咲くセンダンの花
2005年6月2日撮影
▼沢山の花が枝先に咲きます
2005年6月2日撮影

山上憶良の歌
妹が見しあふちの花は散りぬべし
わが泣く涙いまだ干なくに
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歌の中に詠まれている、「あふち」はセンダンのことです。山上億良(やまのうえのおくら)は8世紀初頭の歌人です。万葉の昔から、この木が日本人に親しまれていたことが解ります。
ところが、『平家物語』巻第十一「大臣殿被斬」には、平家の大将宗盛父子の首を左の獄門のオウチの木(センダンのこと)
にかけたというくだりがあります。平安の時代、京都の左獄と右獄の門の外に植えられ、首をかけるのに使われたこの木は、以降「獄門の木」などと呼ばれ、長い間嫌われることとなりました。
【参考文献】
新訂原色牧野和漢薬草大図鑑(北隆館)
樹木大図鑑(北隆館)、他
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