資料A 採取地点 |
資料B 微生物写真 名称;上半分; Phormidium sp. ,下半分; Ababaena sp. |
資料Bの微生物写真:上半分Phormidium sp.藍藻の一種です。藻糸は先の方が少し細くなりますが、ほぼ同じ太さの円筒状で、先端細胞は丸い円錐状か、帽状にふくれています。藻糸は寒天質の鞘に包まれ、鞘が接して束状の群体を形成します。 参照 日本淡水プランクトン図鑑(保育社) 資料Aのc-2地点(Green 58℃)にて採取“ →”は無色の鞘 (光学顕微鏡写真) (電子顕微鏡写真) |
資料Bの微生物写真:下半分Ababaena sp.藻糸は真直ぐなもの、湾曲するもの、らせん状なものなどがあります。異形細胞(ヘテロシスト)と休眠胞子(アキネート)を有するのが特徴です。細胞は球形または樽型をなし、まれに円柱状になります。 参照 日本淡水プランクトン図鑑(保育社) 資料Aの c-3 (Brown 60℃)にて採取“→”は異形細胞(ヘテロシスト) (光学顕微鏡写真) (電子顕微鏡写真) |
Synecococcus sp.Synechococcus には多くの種が含まれていますが、好熱性の Synechococcus としては S. lividus が知られています。 Synechococcus は代表的な好熱性藻類なのでその周辺のことについて少々詳しく述べることにします。 その形態は楕円形または円筒形であり、自然界では単独で生活しますが、培養すると連鎖することもあります。その生育温度に関する研究は Peary J. ら(1964)によってオレゴン州の Hunter's Hot Springs における様々な温度条件より得られた Synechococcus について行われました。 温度による Synechococcus クローン株はその至適温度から4タイプに分けられましたが、45℃に至適温度を持っているいわゆる“Low Temperature Strain ”については増殖速度が極めて早く、一方、75℃から得た至適温度が 65℃の温度株は増殖可能な温度域における増殖速度が低いことがわかりました。もちろん75℃においては増殖できず Brock T.D. (1978)がこれをあたかも“injured strain ”の様であるとしました。 Brock T.D. ら(1968)もMushroom Spring (Yellow Stone National Park)の泉温73℃の湯だまりおよびそこから流出する一本の細い流れにおいて Synechococcus の生息が認められること、さらにそれより泉温の高いGrassland Spring (源泉には湯だまりなし:82 - 83℃)では湯の流出により作られた流れにおいて、湯の温度が 73 - 75℃位に冷やされた場所より下流でこの藻類が観察されることを記しています。 また、Meek J.C. ら(1971)が S.lividus を用い、光合成を指標としてその生育温度域について調べました。その結果、 74 ℃においては光合成活性が著しく失われることがわかり、従って73 ℃がこの藻類にとって生育できる最高温度であると述べています。すなわち、以上の実験結果から、藻類の中で最も高い温度で生育できると考えられている Synechococcus 属の中で S. lividus が最も耐熱性の藻類であり、その生育最高温度は 73℃前後であると考えられます。 さらに Kempner E. S. (1963) や Brock T. D. (1967)らのレポートもその意見を支持するものでありました。 わが国においてこの S.lividus は江本(1966)により北海道・温根湯温泉、秋田県・湯瀬温泉、長野県・中房温泉、地獄谷温泉、上諏訪温泉、静岡県・峯温泉、鳥取県三朝温泉、島根県・玉造温泉、等から分離された報告がありました。 また、佐藤らによっても別府温泉より分離した報告があり、その好熱性タンパク質を用いて種々の実験がなされています。また、この S.lividus はかなり広い範囲に分布しているものと考えられます。 |
Phormidium sp.Phormidium 属の形態は前述のユレモと類似していますが、ユレモと異なり糸状に連なった細胞群の周りには薄い寒天質の鞘があります。それにより相互に接し群体を形成しています。 Phormidium には温泉産のものが多くふくまれますが、なかでもCastenholz R.W(1969) によって報告された P. laminosum は好熱性で、その最高生育温度は 58 - 60 ℃にものぼりました。 Cosmarium sp.日本語ではツヅミモといいます。細胞の大きさは種々様々で、長さは幅よりもわずかに大きく、一般に扁平で中央にくびれがあり上下半細胞に区切られています。 高温泉に生息している例は報告がありません。 参照 日本淡水プランクトン図鑑(保育社) Anabaenopsis sp.
平面的に言うと正方形または樽型の栄養細胞(トリコーム)が長く連なった藻体の端に異形細胞(ヘテロシスト)(写真矢印)が存在します。 参照 日本淡水プランクトン図鑑(保育社) 珪藻珪藻は温泉特産の種も含め多くの種類が報告されています。 |
Nostoc sp.日本名はネンジュモといいます。多くは付着生活をします。寒天状の被膜の中に生息します。休眠胞子(アキネート)、異形細胞(ヘテロシスト)、栄養細胞(トリコーム)などの特徴によって分類します。温泉から発見されています。
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Anabaenopsis sp.Phormidium sp. |