海藻押し葉工房

海藻押し葉のつくり方

海藻押し葉つくりの実際

ビニール袋の利用

 筑波大学の教授であった堀輝三(ホリテルミツ、決してテルゾウとは呼ばないでください)先生とはかつて東邦大学で筆者と一つの研究室を組んでいたことがあります。当時の研究室の名前は「分類細胞学」といい、細胞学を専門とする堀先生と、分類学を専門とする筆者との名前をつけたものでした。堀先生は東邦大学講師として新進気鋭の若い研究者でした。そのころの堀先生の研究テーマは、「緑藻類の葉緑体微細構造の比較研究」でした。

 国立科学博物館の主任研究官であった千原光雄先生の指導の下に、さかんに緑藻類の採集にでかけていました。千原光雄先生の下での研究ですから採集した材料は電顕用材料として固定してくるほかに、押し葉としても持ち帰ったものです。
  研究に用いた材料は必ず押し葉として保存することが鉄則でした。

 沖縄に出かけた時に、堀先生はサラシ布の持ち合わせがなくなり、採集用のビニール袋をサラシ布のかわりにかけて乾燥したのです。できあがった押し葉はテカテカとした美しいものでした。
  反面、押し葉の中央に水がたまってしまい、押し葉の中央部分が腐るという悲惨な状態になることもあります。
  筆者はこの方法をさまざまに工夫して、原稿を書いて千原先生に見てもらったところ、手を加えていただき「藻類」に掲載するように指導していただいたのです。その頃、乾燥はまだ新聞紙の交換によっていましたから、きれいな押し葉ができるかできないかは、いかにまめに新聞紙を交換するかにかかっていました。ビニール袋をかけると、いかに頻繁に新聞紙を交換しても、押し葉の中心部分が最後まで乾燥しないことが多かったのです。
  しかし、これは段ボール紙板を使っての通風乾燥方法による急速乾燥ができるようになって解決することになりました。

次は ノリで貼り付ける

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