暖地に自生する常緑高木。国内では関東以南に分布する。なかでも海岸線に多く生えている。スダジイの別名にツブラジイ、イタジイがある。一般的にはシイノキと呼ばれることが多い。
シイノキは最終的な原生林の代表種で、寿命も長く各地で大木をよく見かける。自然形が綺麗で、植えっぱなしで暴れない。なので、公園などで良く植えられている。公害に強いことから街路樹に。また、工場緑化にも使われる。
私は子供の頃に、この実をよく大量に拾って食べた。生で食べたり、炒って食べたり、あんこにして食べたりもした。あんこにするには、乾煎りしたドングリの子房だけを使う。すり鉢ですりつぶして砂糖を加える。お汁粉にしても美味しかった。ドングリの中でも渋が無く、そのままで食べることができるのはスダジイとマテバシイの実なのだ。時期になるといつでもポケットに入れて食べていた。
スダジイの実の中にムシが入っていることがある。甲虫のシイシギゾウムシの幼虫だ。私は取り出してオイカワ釣りの餌にしていた。これがオイカワ釣りにはとても向いていて、他の餌よりも食いが良く、沢山釣れたことを思い出す。
キャンパスの100周年記念モニュメントの近くに立派なシスダジイがある。ここに習志野騎兵旅団があった1900年頃からある樹木なので樹齢は100年以上と思われる。一部に枯れが入ったため、進まないよう処置をしてもらった。キャンパスのシンボリツリーとして長く生きてもらいたい。
余談だが、このスダジイは私の知り合いのハシボソガラスのお気に入りの樹で、ここでよく「ワンワン」と鳴いてくれている。
ここで紹介する“ワンワンガラス”のカースケ(命名:私)は、2015年にキャンパスで「ワンワン」ということばを教えた初めての仔だ。彼は薬草園に隣接する松林に棲んでいて、以前はスダジイの枝によくとまっていたのだが、正門付近の改修工事が進み、モニュメントの球体が出来てからは、あまり見かけなくなった。それに加えて、オナガの繁殖期に松林を追われてからは、どこか別の場所を拠点にしているようだ。環境の変化にはそのうち慣れて、またスダジイの枝にとまり「ワンワン」と言ってくれると思っている。ハシボソガラスの話はまた別の機会に書こうと思う。
(スダジイ/ブナ科 2022年3月.記)