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薬草園の世界
東邦大学名誉教授
小池 一男

■□■写真<カギカズラ>■□■

常緑のつる性木本。

 カギカズラの花が咲きました。小さな花が集まって球状になっています。平地でこのカギカズラを見ることができるのは大変珍しいことです。

 上の写真は2003年6月20日に撮影。
前日から30度前後まで気温が上がりました。
黄変した葉が見立ちます。

▲カギカズラの花(左)とつぼみ(右)


 下の写真は6月17日撮影。
まだ開花していませんでした。

■□■ 薬用 ■□■

 蔓には葉えきに小枝が変化して釣り針のような形になったトゲがあります。このトゲの部分が生薬として用いられています。
 葉にも同じ成分が含まれますが、トゲの部分に比べると1/3程度です。

 トゲを採取して日干しにしたものを釣藤鉤<ちょうとうこう>と呼び、生薬として用いられています。

 リンコフィリンというアルカロイドを含み、鎮痛、鎮静、血圧降下などの目的で処方されます。


▲鉤状のトゲが葉の脇から出ている

▲トゲ部分の拡大

■□■カギカズラ■□■

 房総半島以西〜四国・九州の湿気のある山地に生える。

 特徴のあるカギ状のトゲから、カギカズラの名がついたようです。このトゲを他の植物に引っかけて上ります。

 千葉県レッドデータブックにおいては、1999年度の“カテゴリー:C 要保護生物”から2003年度には“カテゴリー:B 重要保護生物”に分類変更されています。