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薬草園の世界
東邦大学名誉教授
小池 一男

▲当日のお土産
(全粒粉のパン:左 と プルーン入り焼き菓子:右)

■講師プロフィール

幕張プリンスホテル 洋食調理部 次長
洋食ケーキ(フランス菓子専門)
滝沢 祐一氏

趣味:食べ歩き
食べ物:なんでも
嫌いなもの:にんじん
酒:なんでも
   (本人はそれほどでもないが、ひとはいける方という)


▲休憩時のおやつ!
(豆腐と練り胡麻のシャーベット:胡麻が香ばしく、大変美味でした)

▲手前がキャロブチップ。

■洋菓子とパン

 パンと洋菓子の誕生や、料理との密接な関連で発展してきた経緯などを交え、さまざまなお話を伺いました。

 精製された小麦と全粒粉の違いを触って確かめたり、フランス産チョコレートと、チョコレートの代用として注目されているキャロブチップス(※注1)との食べ比べなど、貴重な体験もさせていただきました。

 休憩時には、滝沢氏自らシャーベットを器に盛って下さり、全員でおいしくいただきました。
  参加者からは「とっても美味しいです」「これなら毎日でも食べられます」など、賛辞の声。ただし、残念ながら、売店での販売はされていないとのことです。

 また、講座終了後には、お土産として全粒粉のパンと焼き菓子が配られました。

 

▲精製された小麦、全粒粉などを直に触って確かめている様子。

※注1:キャロブパウダー&チップスについて
地中海地方で古来から栽培されているキャロブ(豆科)の木の実からつくります。
実は大きい鞘状でその鞘の内側の甘い果肉部分を乾燥して挽いたものがキャロブパウダーです。ちなみに種子はイナゴ豆と呼ばれています。 キャロブパウダーは風味がココアに似ているが、カフェインを含んでいません。
 ココアより多くの糖を有し、ココアに比べて鉄分や食物繊維も豊富、また低カロリーです。
▼以下、講座テキスト内容より、一部抜粋でご紹介いたします。

おいしくて健康によいパン

 おいしくて健康に良いパンというのはどういうパンでしょう?

大手メーカーの食パンは、いつまでもソフトでしっとりしています。消費者の皆さんがそのような物を好まれるのでメーカーでもよりソフトにいつまでも硬くならない様なパンを作るようになります。
 何も添加物を加えないとパンは、1日たつと老化し固くなり、3日もするとカビも生えてきます。いつまでもソフトという事は、なんらかの食品添加物が使用されていると思います。それがすべて悪いとは思いませんし、決められた基準内で使用されていれば、問題もないかもしれません。ただ、こういう添加物が使用され始めてから、何十年も経っていませんし、今後どのような影響がでるかもわかりませんので、使わないに越した事はないと思います。

 健康と栄養面を考えると、小麦粉は精製されたものより、外皮だけを取って小麦をそのまますりつぶした全粒粉を使ったパンが非常に良いようです。食物繊維とミネラルやビタミン(特にビタミンE)が豊富に含まれ、ヨーロッパ諸国では、精製された白い小麦粉を使ったパンの普及と成人病の増加とは密接な関係があるとされています。
 「白パンを全粒粉の黒パンに変えるだけでヨーロッパの成人病の7割は治るだろう」と発表した学者もいるほどです。
  ただ、味覚の面でみるとボソボソで固く黒くて、大手メーカーの食パンとは正反対です。食べなれると味わい深くおいしいと思えてくるのですが、一般的には敬遠されがちです。カロリーを気になさらない方でしたら、砂糖、卵、バターを少し加えれば食べやすくなりますが、毎日食べるならそのままのほうが良いと思います。

洋菓子について

 健康的な洋菓子というのはどういうものでしょう?

 なにしろ洋菓子は原材料が卵、砂糖、バター、粉が中心で、すべてカロリーが高いもので出来ています。その点が非常に難しいのですが、卵黄を使わなかったり、植物性油脂に変えたり、豆乳やオリゴ糖を使ったりとそれらしくは出来るのですが、どうしても味の面で納得いくものが出来ません。
 まだまだ勉強しなくてはいけないのですが、じゃあ豆乳が良いからといって、毎日豆乳のケーキを食べるということはないと思います。そうなるとどうしても嗜好品ということで、味を重視することになります。

 先ほども述べたように、食事はおいしく取るということが健康にも良いとことから、時々おいしいお菓子を食べる事で心の癒しになり、それが健康にもつながるのではないかと思います。

 食材については、新鮮で安全な物を使って、これからも皆様に喜ばれるお菓子作りを行っていきたいと思います。