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薬草園の世界
東邦大学名誉教授
小池 一男

12月-December-


ブーゲンビレア

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ヘクソカズラ
(実)
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キバナアマナ

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ポインセチア

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タチバナ(実)

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タチバナ

ミカン科ミカン属
学名 Citrus tachibana (Makino) Tanaka

 日本では数少ないミカン科の自生種。静岡県以西の太平洋側、四国、九州、琉球列島に分布。いずれも絶滅が危惧されている。また、済州島、台湾の山岳地帯にも分布する。

 樹高2〜6m。花期は初夏。直径2cmほどの芳香のある白い花を枝先、葉腋に咲かせます。果実は扁平型で径2〜3cm。12月〜1月頃に黄熟します。冬の青空に映えるタチバナの実はとても美味しそうですが、酸味が強く苦いので残念ながら生食用には向きません。ジャムや酒などに加工されます。生薬としては“橘皮”として使用されています。 もともと“橘”は中国では柑橘類のことを意味し、日本語で表記する金柑(キンカン)を中国語では“金橘”、蜜柑(ミカン)を“柑橘”と書きます。

「左近の桜、右近の橘」

 タチバナ(橘)は日本書紀や古事記に登場し、縁起の良い植物として古くから日本人に愛されてきた樹木です。奈良時代には貴族の寝殿近くに植えられたといわれます。京都御所には現在も植栽があり、紫宸殿の南階下の東方にはサクラ、西方にはタチバナが植えられています。
 平安時代、朝議の際に左近衛府は紫宸殿の東方に、右近衛府は西方に陣を敷きました。その陣頭の付近にサクラとタチバナが植えられているので、「左近の桜、右近の橘」の言葉があるそうです。この言葉から連想される身近なものに、桃の節句の雛飾りがあります。道具類の中にあるサクラとタチバナを飾る位置がまさに「左近の桜、右近の橘」ですね。また、 タチバナは神聖な木として神社などにも植えられています。

タチバナのデザイン

 タチバナがデザインされている最も身近なものといえば、日本の硬貨でしょう。どの硬貨にタチバナが採用されているか、是非探してみてください。その他、なかなか目にする機会が無いものの代表は文化勲章でしょうか。文化勲章の制定に関しては国立公文書館のWebサイトでデジタル資料を閲覧することができます。
 文化勲章の制定「文化勲章令ヲ定メ〇勲章褫奪令中ヲ改正ス」
 https://www.archives.go.jp/exhibition/digital/ayumi/contents2_07/

11月-November-


シロダモ

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ハトムギ
(実)
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ヒソップ

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アワコガネギク

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干し柿づくり

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ハトムギ

イネ科ジュズダマ属
学名 Coix lacryma-jobi var. ma-yuen

 インドシナ原産の一年草。高さ1〜1.5mほどになる。花期は夏から秋。黒褐色に熟した果実を収穫し、乾燥後に脱穀して種子を収穫する。これを日干しにしたものをヨク苡仁*(ヨクイニン)とよぶ。

 種小名「lacryma-jobi」は「ヨブの涙」という意味で、花序の形から。また、和名「ハトムギ」は、ハトが好んで食べることから名付けられたそうです。ハトムギの歴史は古く、インド、ブラジル、ギリシャ、ローマなどにおいて保健食、美容食などに利用された記載が残っているのだとか。日本に伝わった時期は諸説ありますが、江戸時代中頃にはすでに栽培されていたようです。貝原益軒が記した『大和本草』巻4の中に記載があります。
 ハトムギの別名に“シコクムギ”があります。昔は一反歩の広さから4石(通常の4倍)とれる麦の意味で四石麦(シコクムギ)と呼ばれていたのだそうです。そう聞くと、生命力に満ちたハトムギは、摂取すれば身体に良い影響をもたらしてくれそうな気がしてきます。
 ハトムギの果実はお粥を作ったり、お米と一緒に炊くなど食用とすることができます。また、美容や滋養・強壮に良いとされ、飲用としてハトムギ茶が有名です。ヨクイニンを配合した石鹸や化粧品も多く販売されています。

*‘ヨクは、くさかんむりに意。
『大和本草』は“国立国会図書館デジタルコレクション”で閲覧することができます。ページ下部の参考WEBサイトをご覧ください。)

10月-October-


タデアイ

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ノブドウ
(実)
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クスダマスイフヨウ

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ナツハゼ
(実)
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コスモス

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ナツハゼ

 かつて、ナツハゼは私が住む千葉県北西部には自生しておらず、小学生のころに探しまくったが見つけることが出来なかった。牧野図鑑の白黒の絵を頼りに探し歩いてやっと見つけたのは、ナツハゼと近い種の見た目が似ているスノキとネジキであった。自宅から少し離れたある場所にスノキは2か所、ネジキは3本と、数はかなり少なかった。

 我が家近くから唯一見える山、筑波山。中学生だった初夏のある日、ふと、何かに引かれるように足が向き、私は夜明け前に自転車で家を出て筑波山に登った。中腹を散策していた時に斜面にナツハゼを5本見つけた。見事に実がなっていた。初めて出会えたナツハゼ。樹高は170cmほど。その時はまだ熟れておらず、実は緑色だった。
 しっかりと自生場所を確認し、ウキウキして家へ帰る。自転車をこぎながら図鑑に「実が食べられる」と書いてあったのを思い出し、帰宅してすぐに確認をした。どうしても気になり、私は2週間後に再度ナツハゼの自生場所を訪れた。熟れたナツハゼの実を食べてみると、それまでに食べた事のない味だった。今、例えるならば酸味の強いブルーベリーに近い味だ。40年以上も前の話だが、それが当時は衝撃的な味だったことを、ナツハゼを見ると思い出す。

薬草園スタッフ 川上

ツツジ科スノキ属
学名 Vaccinium oldhamii

 北海道から九州まで、および朝鮮半島南部と中国の温帯から暖帯に分布。日当たりの良い産地に生える落葉低木。花崗岩地帯を好む。樹高は1〜2mほどになる。花は初夏。

9月-September-


カワラヨモギ

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ルコウソウ

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ハゼラン

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チャ

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ホウキタケ

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チャ (チャノキ)

ツバキ科ツバキ属
学名 Camellia sinensis

 APG牧野植物図鑑によれば、チャノキは中国に分布し、ときに野生化する常緑小高木である。日本へは805年に最澄が薬用の目的で唐から持ち帰り、1191年に栄西が種子を製法とともに宋から持ち帰り、飲用として広まったとされる。茶葉の生産のために高さ1mほどに刈り込み栽培される。花期は9月下旬〜12月。

 チャノキはお茶の原料となる木です。お茶には多くの種類がありますが、その中でもチャノキから作られるお茶には緑茶、ウーロン茶、紅茶があります。作り方によって色や香りが違うお茶になります。茶葉は収穫後にそのまま置いておくと、茶葉に含まれる酸化酵素によって発酵し変色していきます。ですが、加熱処理をすることで発酵が止まります。発酵の度合いの違いがお茶の違いなのです。

不発酵茶の「緑茶」

 収穫後すぐに発酵を止めたお茶が緑茶です。緑茶を作るときには収穫後の茶葉をすぐに蒸して加熱処理が施されます。これは酸化酵素の働きを止めるためで、このことによって茶葉の発酵が止まります。蒸しあげられた葉には葉緑素が分解されずに残るため、この葉緑素が日本茶を淹れたときにきれいな緑色を生み出すのです。発酵していないお茶なので不発酵茶と呼ばれます。

 ウーロン茶と紅茶は茶葉の発酵を促進させて作るので発酵茶と呼ばれます。
収穫後の茶葉を天日干しにした後に圧力をかけて揉む(揉捻)工程があります。この時に茶葉の組織や細胞が破壊され、酸化酵素の働きが促進されてお茶の発酵が進みます。

半発酵茶の「ウーロン茶」

 発酵を促進させ、茶葉に緑色の部分を半分残して周辺が赤茶色に変化した頃合いが半発酵の状態です。釜で炒り、発酵を止めた後にいくつかの工程を経てウーロン茶が出来上がります。

発酵茶の「紅茶」

 紅茶はウーロン茶よりもさらに発酵を進めます。天日干しをした後に揉捻と冷却を繰り返し、茶葉の全体が赤茶色に変化した頃合いに発酵を止めます。その後、いくつかの工程を経て紅茶ができあがります。発酵茶や完全発酵茶と呼ばれますが、文字通り完全に発酵をさせてしまうとお茶を淹れた時に黒っぽい色になったり、せっかくの良い香りが台無しになってしまうので、実際には途中で止めるのだそうです。

 さて、お茶を淹れるために欠かせないものは水です。水には硬水と軟水があり、日本の水道水のほとんどは口当たりの良い飲みやすい軟水です。そのため、日本茶代表の緑茶は軟水で淹れるのが良いとされてきました。では、硬水は適さないのかというと、そうではなく、市販されている硬水の中には水道水よりもお茶を美味しく淹れることができるものがあるようです。さて、どの硬水が好みに合うでしょうか。数種類の硬水で淹れた緑茶の飲み比べをしてみるのも楽しそうです。

8月-August-


リュウゼツラン

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コマユリ

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ゲッキツ

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ブーゲンビレア

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アスター
(園芸種)
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アスター

 アスターの花すべてが綺麗だ。中でも私が一番心惹かれる種がキヨスミシラヤマギクである。学名を Aster microcephalus と言い、白色〜薄青色の小さな花を咲かせる。私は高校生の頃に、その自生地が千葉県の清澄山付近にあると聞き、清澄山のそばに住む知人を訪ねた。彼に案内してもらい、念願のキヨスミシラヤマギクに会うことが出来た。他の植物も生えるニタ間川(ふたまがわ)周辺だった。キヨスミシラヤマギクは草丈1m位。崖から垂れ下がる小さな花が私を歓迎してくれた。1時間ほど飽きずに見ていて呆れられたことを思い出す。もっと観察をしたかったのだが、もう連れてこないぞと言われかねないので早々に退散した。この花を見ると今は亡きその知人を思い出す。

薬草園スタッフ 川上

キク科シオン属
学名 Aster

 原種は15種ほどとされ、その変わり花や雑種などがとても多い。園芸品種には200種以上ある。これからも品種改良が進み、まだまだ品種が増えるものと思われる。今月のデスクトップカレンダーのアスターはキヨスミシラヤマギクの変種である。

7月-July-


フウセントウワタ
(実)
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ピタヤ

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ハス

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ラン

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ジョウザンアジサイ

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ピタヤ(ドラゴンフルーツ)

 私のドラゴンフルーツとの出会いは小学生の頃だった。沖縄がまだアメリカの植民地であったころに、兄貴が初めてパスポートを取って行ってきた。お土産の中にドラゴンフルーツがあり、この時に初めて実物を見て、食べた。図鑑などで見て知ってはいたが、当時は‘食用サボテン’と理解していた。サンカクサボテンなどの仲間で食べたのはその実だ。果肉が白色のものと赤色のものがあり、中に小さな黒いタネが沢山入っていた。食べてみた感想は「あまり美味しくない珍しい果物」といった感じだった。その当時は、薄甘くインパクトの無い味だったと思う。だがここ数年で、薬草園の温室で栽培した実を食べたところ結構美味しく感じた。この違いは、おそらくだが、三十数年経つ間にドラゴンフルーツが品種改良されたか、あるいは温室で完熟した実を食べたことが理由かもしれない。今ではたまに買って食べることがあるくらいに美味しくなったと感じる。

薬草園スタッフ 川上

サボテン科サンカクチュウ属
学名 Hylocereus undatus

 中南米を原産とする中〜大型のサボテン。茎は匍匐しながら伸びて10mほどにもなるため、支柱を立てて栽培される。花は非常に大きく30cmほどになる。近縁種の月下美人と同様に夜中に開花し翌朝にはしぼむ。果実は径10〜12cmの長楕円形で三角形の鱗片を持つ。熟すと果皮は赤色になるが鱗片は遅くまで緑色のままである。果肉は白色半透明でほのかに甘くやわらかくて水分が豊富。

 Hylocereusは主に3種が果実用に栽培されています。果物としての国内での生産量が多いのは全体の過半数を占める沖縄県、次いで鹿児島県。千葉県でも生産されています。果皮が赤く果肉が白いものが本種(Hylocereus undatus)であり、果肉が赤いものはHylocereus costaricensis、果皮が黄色のものはHylocereus megalanthusであり、いずれも別種です。
 薬草園の温室では鉢植えのピタヤ(Hylocereus undatus)を棚に置いて茎を横に這わせ自由に成長させています。6月20日現在、茎の先に実が1個ついています。ピタヤの果実はドラゴンフルーツの名で知られていますが、日本への導入時には観賞用が主であったため、ビャクレンカク(百蓮閣)という園芸名がつけられています。

ピタヤの果実(ドラゴンフルーツ)

6月-June-


ラベンダー

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アガパンサス

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キンシバイ

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エキナセア
・パープレア
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スモークツリー

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スモークツリー

 私が初めてスモークツリー見たのは約55年前。今では結構人気があり8種ほどが市場に出回っているが、その頃は1品種のみ。普通の白色の品種だった。それでも初めて目にする本物のスモークツリー。当時の‘世界の植物図鑑’でしか見ることができなかったものが、なんとタキイ種苗で売り出されたので、すぐ手に入れた。
 最初の苗はあまりに小さく冬を越せず枯らした。2年後に再チャレンジをしてどうにか栽培に成功し、3年目に初めての花を見た。この木からどんな風に花芽が出てくるのか、楽しみに待っていたのだ。

 念願の花をじっくりと見る。一見どこが花か判らない。初めて見る花の鉢植えを大事に枕元に置き、寝るまでその不思議な花を見ていた。そんな懐かしい思い出が蘇る。意図せず部屋にダンゴムシを持ち込み母親に怒られた。「ダンゴムシでは死なない」と反論していた記憶がある。言い出したら人の意見は聞かない子供だったのかもしれない。

 現在は品種改良により、花穂の短いスモークツリーや、花穂の長いもの、銅葉で赤花、矮性種など、色々なものが出来てきた。今は誰でも珍しい植物を普通に見ることができる。昔では考えられない時代になった。

薬草園スタッフ 川上

ウルシ科ケムリノキ属
学名 Cotinus coggygria

 ヨーロッパ南部からヒマラヤ地方、中国を原産とするウルシ科の落葉低木。高さ3〜5mほどになる。日当たりと風通しの良い環境を好み、水はけの良い土地で良く育つ。雌雄異株。花期は6〜7月頃。長さ20cmほどの円錐花序をつくり、枝先に径3mmほどの小さな花をつける。

 雌花の伸びた花茎がふわふわとして煙のように見えることからスモークツリーという名がついたと言われる。和名はケムリノキ、カスミノキあるいはハグマノキ。

ハグマノキ

 ‘白熊の木’と書いて‘ハグマノキ’と読みます。仏具にゆかりのある言葉です。仏教の法要の際に僧が振る、ふさふさとした毛のついた道具を見たことがあるでしょうか。払子(ほっす)といいます。払子の毛束の材料は、もとはチベットに生息するヤクの尾の毛が使われました。赤い毛で作られたものを赤熊(シャグマ)、黒い毛を黒熊(コグマ)、そして白い毛を白熊(ハグマ)と呼びます。古くは、遠くインドで用いられていた道具で、殺生を禁じられた僧が蚊や蠅などの虫を追い払うために使われました。スモークツリーの枝先のふさふさとした様子が白熊(ハグマ)に似ていることから白熊の木(ハグマノキ)と呼ばれるのだそうです。

5月-May-


ウスベニアオイ

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クサナギオゴケ

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ツノゲシ

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トガクシショウマ

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シャリンバイ

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シャリンバイ

  私が中学生の頃のこと。親父は釣りが好きで、私はよく一緒に茨城県の波崎まで釣りに出かけた。海岸に行けば、ほぼ一日親父は釣りをしていて、私は夕方になるまで海岸の植物を見て回った。その頃に、初めて見る海岸の植物に興味を持った。松林の中は色々な植物があり、飽きなかった。
 松林のふちの日当たりの良い場所で、シャリンバイがトベラと競い合って成長し、大きなもので高さ3mほどあった。とはいえ、殆どは高さ50cmほどだ。足の踏み場がないくらいに生えていて、藪漕ぎ同然に進むと、よくマムシにも会えて楽しかった 。夏によく行っていたので、花期を過ぎたシャリンバイには紺を黒くしたような丸い実が沢山ついていた。食べてみたが美味しくなかった。その頃、私はまだ実物のシャリンバイの花を見たことがなかった。白黒の牧野図鑑でしか見たことがなかった。花をとても見たくて、春に自転車で波崎まで行き、実物を見た。3時間ぐらい見ていただろうか、時間が止まっていたように思う。家に帰るころには真っ暗になり、親父に少し叱られたことを思い出す。
 シャリンバイは公害に強いという理由で、30年くらい前から公園樹や街路樹としてあちこちに植えられるようになり、今では綺麗な花を身近で見られるようになった。
(2016年5月撮影)

薬草園スタッフ 川上

バラ科シャリンバイ属
学名 Rhaphiolepis indica

 本州の東北南部から、四国、九州、沖縄にかけて分布。主として、本州中国地方以西の海岸に自生し、また植栽される常緑低木〜小高木。高さ2〜4mほどになる。花期は5月。枝が輪生状に出てウメのような花をつけることからシャリンバイ(車輪梅)の名がついた。庭園、公園、工場、道路の分離に植栽される。また、樹皮は大島紬の染料として利用されるという。

4月-April-


コデマリ

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アカシデ

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ボタン

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ワサビ

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クリンソウ

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ワサビ

アブラナ科ワサビ属
学名 Eutrema japonicum
 日本特産で、北海道から九州まで広く分布し、山間の渓流の浅瀬に自生する。根茎を香辛料とするために栽培される。統計資料によると令和3年のワサビの国内生産量は1,885.5t。このうち長野県が757.8t、静岡県が489.9t。2県で全国生産量の約66%を占める。(令和3年特用林産基礎資料(特用林産物生産統計調査 結果報告書)より)
 花期は春。白い小さな花を咲かせる。根茎は開花結実後も肥大を続け、根元から古い葉が落ちていくためごつごつとした葉痕が環状に残る。

 ワサビは古くから食用・薬用として利用されてきました。奈良県明日香村の遺跡から出土した木簡には‘ワサビ’の名前も記されており、当時の年貢として納められていた農産物のひとつと推定されます。「花と樹の大事典」によると、栽培の歴史は明らかではないものの、江戸時代後期に編纂された『本草六部耕種法』には農作物の一反当たりの収益が記されいるそうです。この中でイネの一反当たりの収益が一両二部であるのに対し、ワサビはその12倍を超える十五両とあることから、当時は非常に高価なものであったことが伺えます。その高価なワサビが広く利用されるようになった背景には、江戸の握り寿司の流行があります。文政年間に江戸で寿司屋を営んでいた与兵衛という人物がワサビを挟んだコハダの握り寿司を売り出し、それが江戸っ子の好みに合って大人気になったそうです。江戸前寿司の誕生ですね。ワサビのついた寿司を詠んだ句も残されているといいますから、人気の程が伺えます。

 現在、ワサビは寿司や蕎麦に欠かせない和食の代表的な香辛料となっています。茎葉はおひたしにしたり、ワサビ漬けにしたりと、全草余すところなく利用されます。また、食用の他に、食品の品質保持剤や家電製品の抗菌、抗カビ剤にも使用されます。

3月-March-


ショカッサイ

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ブロッコリー

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ダンコウバイ

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イワウチワ

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キンギョバツバキ

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イワウチワ(岩団扇)

イワウメ科イワウチワ属
学名 Shortia uniflora
 関東地方と東北地方の南部の太平洋側の低山帯にはえる常緑の多年草。日本固有種。横に長く伸びた根茎の先に葉をつけ、春に淡紅色の花を咲かせる。根茎は、まれに60cmを超えることがある。

 イワウチワは円形の鋸歯を持つ葉を付ける。山のやや湿った西〜北斜面や沢沿いに多く見られ4〜5月頃に白色〜濃桃色の花を付ける。群生していることが多く、足の踏み場が無い位密に生えることもよくある。山沿いの梅や柿畑の下草としてハイゴケと共に一面生えている姿を何か所か見かけた。一群落の中でも花形が小さいものから大きなものまで、また、花色は白色〜濃桃色まであった。基本は薄桃色。変種がいくつかあるがその中間種的なものも多く産地によりかなり差があるのは確かである。花が綺麗なため、盗掘も多く自生地がだんだんなくなっている。
(2015年3月中旬撮影)

薬草園スタッフ 川上

 和名の由来は、岩場に生えることが多く、葉の形がうちわに似ていることからつけられました。イワザクラという別名もああります。イワウチワには、コイワウチワ、オオイワウチワ、トクワカソウなど、いくつかの変種があります。コイワウチワよりもオオイワウチワのほうが葉が大きいので見分けることができます。コイワウチワとトクワカソウは、葉の幅と長さの比率、基部のかたちで見分けることができます。コイワウチワの葉は幅広で基部が心形であるのに対し、トクワカソウはほぼ四角形で基部は緩やかなカーブを描きます。いずれも個体差はありますが、見分けるときの目安になります。

オオイワウチワは2010年4月のカレンダーでご覧いただけます。

2月-February-


ハーデンべルギア

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クリスマスローズ

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カワヅザクラ

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マーガレット

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クサボタン
(花後)
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クサボタン

キンポウゲ科センニンソウ属
学名 Clematis stans
 日本固有種。本州の山地にはえる落葉低木。雌雄異株。千葉県では順絶滅危惧種、山口県では絶滅危惧T類に指定されている。

 高さ1m、茎は太いものは稀に径1.5cmほどになります。花期は秋。花は下向きに開き、花弁はありません。花弁のように見えるのは萼片で、4枚の萼片は先端が反り返りクルリと巻く独特な形をしています。表面に細かい絹毛があり、光の加減で輝いて見えます。花後は柔らかな冠毛をつけた痩果をつけます。

 和名(草牡丹)の由来は、株が木化するが全体が草本であり、草がボタンに似ることによります。また、センニンソウ属の「センニンソウ」の名は、痩果につく冠毛が仙人の髭のように見えることからつけられたといいます。

クサボタンの花は2020年11月のカレンダーでご覧いただけます。

1月-January-


ロウバイ

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赤花クモマグサ

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チロリアン・デイジー

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ラッパスイセン

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セツブンソウ

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ラッパスイセン

ヒガンバナ科 スイセン属
学名 Narcissus pseudonarcissus
 ヒガンバナ科の多年草。フランス、ポルトガル、スペインが原産。日本へは明治末年に渡来し、観賞用として栽培される。花期は春。多くの亜種や変種があり、園芸品種も多い。花弁は黄色。ラッパ状の副花冠が濃い黄色でほとんど横向きに咲く。 スイセン( Narcissus tazetta )の学名はギリシャ神話に登場する美青年ナルキッソス( Narkissos )の名に由来するともいわれるが、本来その語源は、ギリシャ語で「麻痺させる、昏睡、無気力」を意味する「narke」にあるとされる。スイセンの鱗片が神経をマヒさせる成分を含むためで、narkeは英語の麻酔剤narcoticの語源にもなっている。

ギリシャ神話のナルキッソスの話
 森の妖精エコーは、美少年ナルキッソスに恋をしました。ですが、エコーはオウム返ししかできないため、ナルキッソスに飽きられて捨てられてしまいます。エコーは悲しみのあまり姿を失い木霊になってしまいました。エコーを憐れんだ復讐の神ネメシスは、ナルキッソスに湖面に映る自分の姿を恋するようにさせました。叶わぬ恋に日々憔悴したナルキッソスは、やがて死んでしまいます。その死を悲しんだエコーが彼をスイセンとして蘇らせました。
 スイセンが花をやや傾けて咲くのは湖面に見入るナルキッソスの姿を伝えているのだといいます。 (諸説あり)

著作権について

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Copyright Kazuo Koike
著作権者 小池一男

Copyright Medicinal Herb Garden, TOHO Univ.
著作権者 東邦大学薬学部付属薬用植物園

Copyright Media Net Center, TOHO Univ.
著作権者 東邦大学メディアネットセンター

参考図書

参考Webサイト

参考資料

‘PICK UP’ 回顧録ほか、コメント : 薬草園 川上

‘PICK UP’ 文責 : 習志野メディアセンター(バーチャルラボラトリ担当)