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元東邦大学薬学部教授 佐橋紀男
 

空中花粉を捕集する機器と花粉数を計測するための方法などをご紹介します。
機器類は東邦大学の校舎屋上に設置、実際に使用されているものを撮影しました。

  

ダーラム型花粉捕集器を用いている観測地が多い。ISロータリー型は、捕集能力は高いのですが、ダーラム型に比べ普及率が低くなっています。

現在、花粉の観測はボランティアの活動に依るところが大きく、「リアルタイム花粉モニター」などの機器は高価であることから、使用している観測地は多くありません。

名称
サイズ・吸引量
計測
方法
 
ダーラム型花粉捕集器 10平方センチメートル又は3.24平方センチメートル 1日

重力法/水平に設置されたスライドガラスで捕集。

取り扱いが簡単で安価なことから、一番普及している。

IS式ロータリー型花粉捕集器 1平方センチメートル 1日 重力法/角度45度に設置したスライドガラスで捕集。風向きに反応するよう尾翼あり。全国で50箇所程度で使用。ダーラム型の3-5倍の捕集能力。
佐橋先生らが考案。
バーカード型花粉捕集器 10リットル/分 7日間 体積法/1時間に2mmずつ回転するドラムに巻かれた粘着テープで捕集。
リアルタイム花粉モニターKH3000 4.1リットル/分 リアルタイム 毎分4.1リットルの空気を吸い込み、自動計測。リアルタイムにPCに情報を伝達。
リアルタイム花粉計測器KP1000システム
リアルタイム 大きさでの判別後、紫外線放射による花粉の形状にて花粉の種類を特定し、自動計測。
※超音波風速器
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微風も計測可能

重力法で捕集したスライドの処理

ダーラム型・ISロータリー型のように花粉の重さで落下したものを、スライドガラスに付着させて観測する方法を重力法、バーカード型の観測器のように、空気とともに空中の花粉を吸い込み、空気中の花粉を観測する方法は体積法と言います。

ここでは、重力法(ダーラム型)で花粉を捕集したスライドガラスを、その後どのように処理するのかを紹介します。

1.捕集器にセットされたワセリンを塗ったスライドガラスに花粉が付着する。これを専用のケースに入れて回収(右の写真)。

2.スライドガラスにGVグリセリンゼリーの小片を載せ、その上にプレパラートを載せ、加熱する。

▲上の写真はダーラム型の捕集器のスライドガラスを交換している様子。

3.グリセリンゼリーがプレパラートとスライドガラスの間に均一に広がり、花粉が染色される。

4.染色された花粉を顕鏡。一定面積中の花粉の個数を数える。

■GVグリセリンゼリーは、加熱により速やかに花粉を染色。数年間保存可能。写真撮影や顕鏡が容易かつ正確にできる。

■研究室には各地から、処理を施したスライドガラスや測定データが送られて来る。