

山地のやや湿った場所に生える多年草。アブラナ科の花の特徴である4弁の花を咲かせる。花色は白。ワサビを小さくしたような姿でユリ根のように小さな球茎を付けることからこの名前がつけられた。地上部を食べてみるとワサビほどではないが辛みがほんの少しある。私が子供の頃はイヌワサビと呼ばれていた。
私がよく行く筑波山では沢を歩いているとユリワサビを普通に見ることができる。まだあまり花の無い寒い時期に、ニリンソウより少し先に咲く。大きな群生地が何ヶ所かにあったが2019年に関東を直撃した台風で崖崩れが発生し、土砂と共に流されて自生地が根こそぎ無くなってしまった。そこは少し珍しい植物たちも自生する場所だった。レイジンソウや白花のツクバトリカブト、コセリバオウレン、オオカモメズルが結構あったのだ。痛手は大きい。
筑波山でユリワサビの花を撮っていると私はよくハナアブの成虫に会う。フワフワの毛を纏ったビロードツリアブにも会えるので、その時期に行くのが楽しみなのだ。
(ユリワサビ/アブラナ科 2022年4月.記)