

本州西部から九州にかけての山地に分布する。渓谷沿いや樹林内などに生える多年草。秋に葉を出し、春一番に咲く花だ。そして6月には休眠期に入ってしまう。花は淡いピンク色か淡い紫色で稀に濃い色がある。咲き方は三段咲きや八重咲きなど変化に富む。私が住む関東あたりには自生が無く、憧れの植物のひとつでもある。
30年ほど前に縁あって九州の知人からユキワリイチゲの根茎を1株入手することができた。現在も我が家の庭でその株の栽培を続けている。
ユキワリイチゲは成長が遅い。譲り受けた1株から育ててみたところ、最初の3、4年は葉を出すものの花は咲かず、ちょっと増えるだけだった。ある程度株が充実した4年目頃からは倍、倍…と、どんどん増えてくれた。
昨年ついに100花が咲くほどの大株になった。だがある日仕事から帰ると、その3分の2ほどが掘り取られて無くなっていた。ガッカリしたがまだ残っていたユキワリイチゲを今は大事に育てている。我が家の庭から植物が無くなるのは、実はよくあることで、これはもうしょうがないと思っている。私は育てたユキワリイチゲが無くなってしまわないように株分けをして、薬草園内に移植をした。ユキワリイチゲの株分けをする場合には、とにかく小分けせず大きく分けることが大切である。移植したユキワリイチゲはキャンパスで順調に増えてくれている。
(ユキワリイチゲ/キンポウゲ科 2024年1月.記)