山野の湿った所で生えているのをよく見かける落葉低木。沢沿いに多いことからサワアジサイと呼ぶ地域もある。ヤマアジサイは白花が主だが、変化が多く産地により色や形態に違いがある。店頭では産地の名をつけて売られていることもある。
ヤマアジサイは昔から愛好家が多い。そのため、品種改良が進み沢山の変化に富んだヤマアジサイがみられる。花色は白色の他に赤色、紫色、桃色など。八重咲きのものや斑入り葉など様々で、愛好家がはまるのもわかるような気がする。
ヤマアジサイは非常に丈夫で、水を切らさず、夏の西日に当てずに育てれば良く育ってくれる。たまに花が咲かないと相談されることがあるが、原因の殆どが剪定時期のずれによるものだ。剪定の基本は花後すぐに行うこと。その後は鋏を入れない。また、挿し木で簡単に増やせる。
私の周りではあまり聞かないが、交配でヤマアジサイの新しい花を作るのも楽しみがある。私は小ぶりのプランターで実生を試みた。1花分なのでタネは数万粒あったと思う。用土は鹿沼土(またはピートモス)で、取り播きし、覆土はしない。2週間ほどで芝のようにびっしりと発芽するので、ピンセットで苗を取り分ける。私はその中から100本を育てた。開花までには数年かかった。成長がすごく早いものでも開花までに3年。4年目で6割が開花し、5年目で残り全てがようやく開花してくれた。数本を残し知人に分けたが、それらは残念ながら枯れてしまったため、最終的に残ったのはキャンパスに植えた6本だけだった。現在その株は無くなってしまったが、そこから挿し木をしたヤマアジサイが、キャンパスで数株、白い花を咲かせてくれる。
(ヤマアジサイ/アジサイ科 2022年3月.記)