山野に生える多年草。薬用や観賞用として栽培される植物。
春、木漏れ日の射す林床の傾斜地で見ることができる。傾斜地の上の方に大株があるほど、群落が大きいことが多いように思う。私は以前、ぱっと見て100株ほどの群落を見たことがある。
ウスバサイシンは2枚の葉の間から花茎を伸ばし、横向き、または下向きに花を咲かせる。なので、花は葉の下にひっそりと隠れて目立たない。花弁のように見えるのは実は萼である。筒状の萼は先端で3つに分かれる。稀に4~5つに分かれるものもある。条件が良ければ、開花までには最速で4~5年とされる。私が実生から育てたウスバサイシンは、開花までに7~8年と年数がかかった。本当に成長が遅い植物だ。
ウスバサイシンの仲間は地方によって変化がある。白花や緑花、黒花そして斑入りなどだ。山野草展などでたまに見かける素心や、斑入りなどがマニアに好まれる。私は50年くらい山に行っているが、野生種のウスバサイシンの素心に出会えたのは、わずかに3回のみだ。私もウスバサイシンが好きなので、知人から斑入り種を分けてもらって栽培をした。6年かけて大株になり、斑は消えてしまった。だが、斑が消えた株は、掘り上げて小分けすることにより、また斑が出てくることもある。
(ウスバサイシン/ウマノスズクサ科 2022年1月.記)