高山に咲く多年草。絶滅危惧種。本州では白馬岳と八ヶ岳の一部、北海道の一部にしか自生していない貴重な植物。
47年ほど前になるが、白馬岳と八ヶ岳でツクモグサに出会った。数はそれぞれ200株、60株くらいだったと思う。今はどのようになっているのかとても気になりインターネットで調べたところ、白馬岳ではかなり増えている様子。八ヶ岳は相変わらずだが、とりあえず増えていることにホッとする。
ツクモグサの花弁はクリーム色で外側は白いふわふわした毛で覆われている。私はツクモグサの花はオキナグサに似ていると思う。俯いて咲くオキナグサの花を上向きにして白くした感じだ。中学生の頃にある本で(ポケット図鑑だったと思うのだが)この花を知り、高校生から始めた登山でやっと念願の“高嶺の花”のツクモグサに出会えた。場所は横岳の山頂付近の尾根筋の岩の裏だったと思う。あまりの感動で2時間ぐらい花の前に横たわり、じっと見ていた。通りすがりの登山者に「大丈夫ですか?」と声をかけられたので、「ツクモグサを見ているんです。」と返事をした。ツクモグサはとても可愛らしく、予程を変更して翌日も見に行った。
この時は天気が良かったこともあり丸2日を岳で過ごし、何日か高校をサボったことを覚えている。高校生の頃は今と違って体力があり寒さにも強かった。平均して45キロの荷を背負い一人登山を楽しんでいた。このツクモグサが登山にはまったきっかけになったように思う。とても思い出深い植物のひとつだ。あの時心配をして声を掛けてくれた登山者とは、このことがきっかけで知り合いになり、その後は偶然に2度も他の岳で会った。早池峰山と東北の山だった。
(ツクモグサ/キンポウゲ科 2024年1月.記)