山野に生える多年草。薬用の他、観賞用としても栽培される。花茎の先に兜を被せたような独特な花形が特徴だ。花は青色。ごくまれに桃色や白色がある。変種や変化が多く産地により見た目が微妙に違うところにもとても興味を惹かれる。
トリカブトは有毒植物の中で最も広く知られている植物だろう。ツクバトリカブトはトリカブトの仲間で、ヤマトリカブトの変種で有毒植物だ。ヤマトリカブトに比べ、葉の切れ込みがより深い品種。かつてアイヌの人たちがクマ狩りに使っていた毒だとも聞いた。以前、新聞社からトリカブトの毒性についての問い合わせがあったこともある。
私がよく行く山野で出会うトリカブトの品種は大きく分けて2種。ヤマトリカブトとツクバトリカブトだ。そこでは、どちらかというとツクバトリカブトの方が多いように思う。ツクバトリカブトは平地の林でも見られるが、里山や標高の高い場所にある林に多く見かける。一般的には1個の球根から1本の茎を出して2、3芽をつける。大株になると草丈は1m以上になり50芽ほどをつけるので見応えがある。そのせいか他の山野草と同じく、かなりの数の盗掘跡を見かける。特に多いのは大株が生えていたであろうと思われる跡だ。
私はよく行く場所でツクバトリカブトの花が何本咲くかを調べたことがある。芽出しの頃にツクバトリカブトが生えている場所に印をつけておき、花の時期に行ってみた。20芽以上はあろうかと思われる大株が30株ほどあった。だが各株で開花したのはその3割ほどだった。40~50本咲いたら見事だろうと思い楽しみにしていたが、そこまで沢山の花は無かった。
(ツクバトリカブト/キンポウゲ科 2024年1月.記)