

甜茶(テンチャ)の原料となる植物には色々あるが、ここではバラ科のRubus suavissimus(ルブス・スアウィッシムス)あるいは甜葉懸鈎子(テンヨウケンコウシ)という植物を取り上げる。和名は無いようだ。
キイチゴの仲間で中国南部原産の落葉低木。高さ2~3m、幹の太さは3~8cmほどに成長する。葉を乾燥したものが「甜茶(テンチャ)」として飲用となる。40年ほど前まで日本ではあまり知られていなかった植物だが、ある時、花粉症の軽減に効果があるようだと話題になり国内でも栽培されるようになった。木に鋭い棘がたくさんあり、葉はモミジのような形をしている。夏に大きな5弁の白い花をまばらに咲かせ、後にオレンジ色の大きな実をつける。実を食べてみると味が濃くとても美味しかった。キイチゴの中では一番美味しいと思う。摘んだ葉を噛むとかすかに甘味を感じた。乾燥させると甘味は増したように思う。私はその乾燥させた葉に熱湯を注ぎお茶(甜茶)にして飲んでみた。花粉症に効果があったかどうか、残念ながら私にはわからなかった。知人には効果があったらしく、すごく効くと喜んでいた。効果にはかなり個人差があるようだと思った。
テンチャの栽培はよく陽に当てることがコツである。栽培自体は手がかからず比較的簡単なのだが、苗を植えてから、大きくなり開花するまでに2年ほどかかる。株が充実して花が咲き、実が成ると木が枯れる。翌春には枯れた木の根元から新芽が出てきて、開花までにまた2年待つ。それを繰り返す。根がとんでもなく伸びるので、はるか先のほうで新芽が出てくることもある。あまり剪定をせず伸ばしっぱなしのほうが良くできる。
テンチャは3~4年で古木が衰退してゆく。増やす場合には株分けをする。また、丈夫な木に育てるために2年目の秋に古木を地際から切ると良い。また、その切った古木から挿し木の穂を得ることもできる。
(テンチャ(通称)/バラ科 2024年3月.記)