野のスミレの代表種のひとつ。山野、空き地、山のふちなどに普通に生える多年草。有茎種で、一株で直径30cmを超えることもある。
タチツボスミレは白、ピンク、濃紫など花色に変化が多い。花のサイズは小さいもので1cmほど。大きなものでは2cmあまり。実に2倍の差がある。30年ほど前には、そんな小さな花をつけるタチツボスミレが一面を覆い尽くす見事な群生地がいくつかあったが、最近では殆ど見かけない。群生地では、多種のスミレの交雑らしきものはよく見かけたのだが、花色や大きさの変化は少なかったように思う。近年(ここ25年ほど)の山野草ブームで各地のタチツボスミレが売られるようになった。珍しい純白までもが出回り、普通に見られるようになったのは凄いことだ。
山野草ブームの到来以降、キャンパスの薬草園ではツマグロヒョウモンが増え、タチツボスミレの冬芽を食べている個体を見かけるようになった。品種改良により、冬に咲くタチツボスミレが増えたせいだろう。30年前では考えられない光景である。
子供の頃は、この花を根元から摘み「ひっかけ花相撲」という引っ張り合いをして遊んだものだ。また、花が咲く頃までの新芽を花ごとお浸しや胡麻和え、天ぷら、汁の具などで食べた。
(タチツボスミレ/スミレ科 2022年1月.記)