

中国原産の落葉高木。モモに比べ酸味が強いことからスモモ(酸桃)と名付けられたといわれる。日本へは万葉時代以前には既に渡来していたという。古くから食用として栽培されてきた樹木で、旧家や農家の敷地などで古木を見かけることがある。
私が小学3年生の頃の友人にN君がいる。彼の家は農業を営んでおり、庭には大きなスモモの木があった。私は数人の悪ガキどもと一緒にスモモの実をもらい、おやつに食べていた。近くの山にN君とみんなで作った秘密基地があって、そこへ持って行って食べるのが楽しかった。N君のおばあちゃんが「塩を軽くまぶして実を揉むと甘くなる」と言ったので、私たちは素直に塩もみをして食べた。スモモの実が甘くなったような気がしていた。
近年では品種改良が進み、酸味が少なく甘みが強いスモモが市場に出回っている。旧八千代薬草園では昔ながらの品種を作っていた。花は白く、葉と実が赤い“ベニバナスモモ”という品種で別名「アカバザクラ」と呼ばれていた。実にはほんの気持ち甘みが有るものの酸味が強かった。そのせいか完熟してもヒヨドリ達もあまり食べに来ることはなかった。また、カブトムシやカナブンといった昆虫たちもそのスモモではほとんど姿を見ることがなかった。高さ3.5m、葉幅5~6mほどの立派な樹木に成長したが残念ながら伐採されてしまった。
(スモモ/バラ科 2023年8月.記)