山野に生える多年草。シュンランは庭に植えたり、鉢植えにしたりするなど、早春に咲く縁起の良い花として古くから正月に楽しまれてきた。江戸時代の書物の中には既にシュンランの品種名が登場しているという。かつては明るい林に入るとよく目にしたが、近年は宅地開発や乱獲によって自生地がかなり少なくなり、探さないと見られないほどになってしまった。
シュンランは古典園芸植物として以前から人気がある。斑入りや色花、奇形花などが特に高値で取引されてきた。40年くらい前に無菌培養ができるようになって、ここ20年ほどは値段が安定してきたが、他の植物に比べればまだ値が高い。
私は小学生の時にシュンランの競りがあると聞いて見に行った。‘光琳’という朱紅色のシュンランが出品されると聞いたからだ。‘光琳’は色花のはしりで、それを初めて目にした私は、まるで電気が走ったかのように大興奮した。当時の値段で一株300万円の値段が付き、驚いたことを覚えている。
その頃の流行りは‘虎斑(とらふ)’という斑入りのシュンランだった。虎斑とは、緑の葉に白色~黄色の斑が入るものだ。それが株全体に綺麗に入ったものが、無名品にもかかわらず高値で取引されていた。色花は、赤花、朱金花、黄花、素心花など多くの種類が出回り始め、一番安かった素心花の並花でも1バルブ1万円の値段で取引されていた。ちなみに小学生の私の小遣いは1日10円だった。だが、どうしても栽培してみたくなり、数年後にやっと手に入れることができた。その後は300株まで増やすことができた。
(ラン科/シュンラン 2022年2月.記)