西アフリカ北西部原産とされるアオイ科の植物。日本で“ローゼル”と呼ばれるこの植物は大きく分けて、葉が緑色の1年草と、赤色の多年草の2種類が市場に出回っている。緑色の葉のローゼルのほうがより広く知られているように思う。ロゼリ草やローゼリ草、レモネードブッシュなどとも呼ばれる。草丈2mくらいに育ち、黄色~赤色の花を咲かせる。酸味のあるガクはハイビスカスティーの原料となる。ハーブブームで国内でもかなり広まって来たローゼルだが、まだ一般的とまでは行かず、きれいな赤色のハイビスカスティーは南国の花のハイビスカスから作られていると思っている人も多いように思う。
先日、薬草園に「ローゼルの草は食べられますか」という問い合わせがあった。緑色の葉のローゼルは食用には向かないが、赤色の葉のローゼルは若葉や若芽を食べることができる。私は何回か赤色の草を食べたことがある。若葉には酸味があり、少しぬめり気があるのが特徴だ。おひたしや酢の物、和え物などで楽しむことができる。赤い若葉をサラダにすると彩がきれいだ。当薬草園では手軽に作れるものとして、お茶として楽しんでいる。ローゼルは栄養価が高いので、これから国内でも消費が伸びる作物ではないかと思う。
(ローゼル/アオイ科 2024年2月.記)