

中近東~ヨーロッパ南東部原産の多年草。「ラナ(rana)」はラテン語で「カエル」を意味し、属名のRanunculus(ラナンキュラス)は「小さいカエル」。葉の形がカエルの足に似ている事からこの名が付けられたと聞く。
ラナンキュラスは花がきれいで人気があり、園芸植物を代表する植物のひとつ。花色や花形が多種ありマニアも多い。今は亡き知人のHさんもその一人であった。山野草がすごく好きなHさんだったが、園芸種でもラナンキュラスだけは好きであった。50年ほど前は、ラナンキュラスはとても珍しく栽培している人も少ない貴重な植物であった。
Hさんには私が4,5歳の頃から可愛がってもらっていて、私を植物好きにしたひとりでもある。Hさんはよく山野草を持ってきては私に尋ねてくれたのでその度に図鑑を調べた。今思うとその時に植物に興味が湧いたのだろう。私はラナンキュラスを見るとHさんを思い出す。Hさんに感謝である。
ラナンキュラス・ラックスは宮崎県の園芸家さんの作出で、ラナンキュラスの異種間交配によって作られた品種であると聞いている。
35年ほど前、山野草愛好家でありラナンキュラス愛好家でもあったHさんから「ラナンキュラスから“変わり”が出た」と連絡が入った。正直なところ私はラナンキュラスにあまり興味が無かったのだが、Hさんがあまりに興奮して話してくれるので一緒に園芸展を見に行った。見事!それまで見てきたラナンキュラスと同種とは思えないほど背が高く、一重の花は淡くくすんだ赤茶色で金属色に輝く花びらが見事であった。
ラックスに衝撃を受けた日から20年。園芸店でもラックスを見かけるようになった。今では多くの種類のラナンキュラス・ラックスがラナンキュラスよりもかなりの高値で売られている。今は亡きHさんに色とりどりのラックスを見せてあげたかった。
(ラナンキュラス/キンポウゲ科 2023年12月.記)