尾瀬湿原の池塘などに生える多年草。コウホネの高山型の変種で全体にコウホネよりも小さく、花芯が赤くなるのが特徴だ。
私は45年ほど前に尾瀬の小屋の親父さんからもらったオゼコウホネのタネを播いて育てた。最初の個体は我が家で栽培したのだが、小形で暑さにあまり強くない個体だった。それでも花が咲き、実ができて、45年をかけて何代か更新を繰り返した後、最初の個体に比べて葉は2倍、花もひと回り大きく、そして丈夫なオゼコウホネになったように感じる。
現在、習志野キャンパスにある個体は、我が家で発芽した株を何回か更新したものだ。オゼコウホネ独特の赤い花芯は維持したまま、植物自体が大形になり、花付きが良くなったように思う。
どの植物にも言えることだが、実生はすごく面白い。色々な、思いもよらない変化があるので、私は株分けよりも実生を多く行っている。
5年ほど前に、私は知人が育てていたオゼコウホネを一株分けてもらった。その株を我が家で育てながら観察しているのだが、分けてもらった当時と比べて現在は形態が違ってきている。卵型だった葉が縦長になったのだ。これも個体差なのだろうか。不思議だ。
年により葉の形が微妙に違うのも面白い。肥料が効いた時とそうでない時の差なのかもしれないと思っている。一度だけ、一茎二花が咲いたことがある。初めて見たので驚いた。残念なことにその時の写真は残っていない。フィルム焼けをおこしたので処分してしまった。もったいないことをしてしまったと今になって後悔している。
(オゼコウホネ/スイレン科 2022年2月.記)