

山野、山林に生える落葉高木。日本の固有種。伊豆七島、伊豆半島、房総半島に分布するが、伊豆七島のみが自生と言われる。他のサクラの台木によく使われている。樹高10~15mほどに成長する大形のサクラ。花も大形で花径は4.5cmほどにもなる。花弁は白色で一重。ごく稀に薄紅色の花や八重咲きの花がある。観賞用として好まれ古くから栽培されてきた。関東付近の私がよく行く場所ではソメイヨシノに次いで多く見かけるように思う。また、樹齢100年は越えていそうな老木をよく見かける。葉は塩漬けにして桜餅を包むのに用いられる。実付きが良く、花後に沢山成る小さな黒い実はヒヨドリやムクドリ達の好物である。
私がよく見るオオシマザクラが咲き始めるのはソメイヨシノが満開になった頃が多い。いや、これまでの私の行動範囲にはそのタイプしかなかったと言ったほうが正しいだろう。
話は逸れるが、私は現在、大島のハマカンゾウの自生地復元のための手伝いをしている。実生苗を作り、決められた場所に植えるところまでを行う。昨年、依頼主のH先生からの連絡を受けて大島へ視察に行った。その時に会った現地の方からオオシマザクラについて興味深い話を教えてもらった。その方によれば、オオシマザクラには開花時期の違う3つのタイプがあるのだそうだ。早いものではソメイヨシノよりも1か月前頃から咲くものがあるという。“早生”というタイプだ。次に咲くのはソメイヨシノと同じ頃に咲く“中”。最も遅いのは“奥”と呼ばれるタイプで、大島では3月頃に開花するヤエザクラと同じタイミングだという。大島では約2ヶ月に渡ってオオシマザクラの花を楽しめるのだ。本土にあるオオシマザクラは“中”タイプのみと聞いた。是非とも早生タイプが咲く時期に大島へ行ってみたいと思っている。
(オオシマザクラ/バラ科 2023年12月.記)