土手や原っぱ、草原などに生える多年草。薬用の他、観賞用として栽培される。日本では本州、四国、九州に自生するが、宅地開発や盗掘により自生地が激減し、絶滅危惧種になってしまった。今では自生種よりも栽培種の方が多い。
オキナグサの根はゴボウ根で、一本が太く出て細根が少ない個体がほとんど。長いものでは1m50cmほどになった。以前、大株に育ったものを移植する必要があり、その時に私は試しに、この太い根を途中で切り落として移植してみた。具体的には、一度に数百粒を撒いて栽培しゴボウ根になった個体の根を切り落として移植、栽培した。これを12年間続けてみた結果、全体の3割程度しか付かなかった。付いたものも、その後は「何とか開花した」という様子で年々弱くなり、成長具合は良くなかった。
私のおススメの栽培方法は筒栽培だ。塩ビの筒に細かな土を入れた状態で育てる。ゴボウ根がスクスク成長し、根に支えられて地上部も元気に育つ。
一般的にオキナグサは結構丈夫な植物で、実生で簡単に増やすことができる。なので、増やすなら実生をおススメする。鉢で育てるなら、ゴボウ根にさせないために小さな鉢にタネを播き、根を枝分かれさせる。成長とともに大きな鉢に入れ替えて根を多くし、定植する。
オキナグサは夏の暑さで根が傷みやすくなる。なので、鉢植えの際に注意することは、蒸れない程度に細根を取り除くことだ。そのための植え替えを毎年行う。この時、できるだけ主根はいじらないようにする。いったん根付けば15年くらいは花を咲かせてくれる。直播をするなら、根を保護するためにも移植をしないことをおススメする。いずれにしても、良く日に当てて栽培するのがコツだ。
私が栽培したオキナグサの中には最長で30年ほど持った株もあるが、長く楽しみたい場合は絶えず苗を作り、更新するのが良いのではないかと思う。
近年では緑花の素心や八重咲なども出回ってきている。オキナグサは花も綺麗だがタネの時期の姿もとても綺麗で、その姿は「オキナグサ」の名の由来となった。カメラのファインダーを覗き、白くなった種穂を逆光で見るのは格別である。
(オキナグサ/キンポウゲ科 2021年12月.記)