山野に生える多年草。落葉樹林の沢沿いでよく見かける。ニリンソウは二輪の花が寄り添うように咲く一茎二輪の春の花だ。3月中旬に新芽が出始めると3、4日で花が咲く。花が終わると間もなく葉が枯れはじめ、5月上旬には殆どが無くなり休眠期に入る。
ニリンソウは日本各地に群生地がある。足の踏み場がないくらいに密生することが多い。私がよく行く筑波山では沢沿いや北西斜面に何か所か大きな群生地がある。ミミズが多いからかミミズを餌にしているアナグマやイノシシに掘り起こされてひっくり返っているニリンソウをよく見かける。だが天地が逆さになっても枯れずに芽を出して花を咲かせる。強い植物だ。
ニリンソウは有毒植物が多いキンポウゲ科の中で、食べることができる数少ない植物だ。私は何度か若葉をおひたしにして食べたことがある。クセが無く美味しかった。最近、時期になるとインターネットで山菜として売られているのを見かける。葉の形が似ているトリカブトを誤食した中毒事例が過去に数例あるので注意が必要だ。はっきりと見分けがつかないなら絶対に食べてはいけない。
近年の山野草ブームではニリンソウの変わり花が数種発表されマニアの目を引いている。変わり花には多花弁や緑花、八重咲などがある。八重咲きには唐子咲きや千重咲きなどもあり、花の大小の違いも魅力的だ。また、一茎三輪や一茎四輪のものもある。斑入り種も良い。
(ニリンソウ/キンポウゲ科 2022年3月.記)