

日本各地の低山から亜高山帯に生える落葉小高木。薬用や観賞用として栽培される。平地や低山では樹高10mを超えるものがある一方、高山の過酷な条件のもとでは20cmくらいのものもある。環境によりかなりの差がある。春に小さな白い5弁花を複散房花序に咲かせる。秋には真っ赤な紅葉がとてもきれいだ。葉が落ちた後に下がる真っ赤な実もとても風情がある。観賞価値が高く、北海道や東北地方では街路樹としても植栽されている。
ナナカマドの赤い実は一見美味しそうだ。鳥たちが食べているので鳥の気持ちになり私も食べてみたが、酸っぱく苦くとても食べられたものではなかった。東北地方では苗のほか、果実酒やジャムなどに加工されたものが道の駅や直売所などで売られているのをよく見かける。私は生食した時の苦い経験のせいでまだ食べたことがないのだが、秋田駒ヶ岳で会った人はナナカマドのジャムは美味しかったと教えてくれた。今はまだ気が進まないが、いつか食べてみようと思う。
北海道に行った時に民家の庭先で大きな鉢植えの盆栽風の見事なナナカマドに出会った。高さ60cm、幹の直径は20cmほど。樹齢30年くらいだろうか。上部を水平に刈り揃えられて、かなりの貫禄を漂わせていた。家の人に話を聞くと、道路を整備するときに邪魔になった街路樹を譲り受けて鉢植えにしたということだった。
キャンパスでも何度かナナカマドを育ててみたが、20年くらい経つと決まってカミキリムシが入り枯れてしまった。最近は茨城県でも街路樹として植えられているのを見かけるが、カミキリムシへの対策は大丈夫なのだろうかと要らぬ心配をしてしまう。
(ナナカマド/バラ科 2024年3月.記)